かつては「老後は安心」と信じられていた年金生活。しかし、実際は「年金だけでは到底生活できない」という現実があります。さらに終わりが見えない物価高を前に、米すら買えないという絶望感が漂います。そんな高齢者によって一縷の救いとなる「緑色の封筒」とは?
もう終わりだと思っていた…「年金5万8,000円」では米すら買えず、空腹に耐える73歳女性。ある日、ポストに届いた「緑色の封筒」に一筋の希望を感じたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

支援制度の壁と「絶望の手前」で届いた一通の封筒

そんなとき、ポストに1通の緑色の封筒が届きました。その中には「年金生活者支援給付金」の案内。この給付金は、①65歳以上の老齢基礎年金の受給者 ②同一世帯の全員が市町村民税非課税 ③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれは88万9,300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれは88万7,700円以下 という3つの条件を満たしていると、毎月の年金に加えて月5,450円を基準に給付金が受け取れるというもの。

 

厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、令和6年3月時点、784万人が対象となり、平均4,014円を手にしています(老齢年金生活者支援給付金)。

 

「普段、郵便物なんてすぐに捨ててしまうの。大したものはないから。でもあのとき、封筒が目に入ってよかった。月5,000円程度ではありますが、電気代を払ってお釣りが出る……ありがたいですよ」と、少ない金額であってもそこに希望を見出しているよう。

 

年金生活者支援給付金は、2019年から始まった比較的新しい制度ですが、対象であっても受給していない/受給できていない高齢者も珍しくありません。制度そのものを知らなかったり、申請書類が届いてもワケが分からず放置してしまっていたり、理由はさまざま。世の中に色々とある「支える制度」をいかに周知し、いかにアクセスしやすくするか、大きな課題のひとつといえるでしょう。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』