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老後夫婦の意識の差…妻「あなたとは別れたい」
定年後、家にいる時間が格段に増えた洋一さん。家事でも手伝うことができればいいのですが、家事力が驚くほど低いことは自覚しています。手伝えばかえって手間がかかる――。以前、恵子さんに怒られたことがあったので、家のこととは一線を引いていました。それは仕事を辞めた今も同じでした。
一方、それで家では存在感が薄かった洋一さんが、「ただ家にいる」ことに対して、恵子さんによって大きなストレスになっていたのです。
「意味もなく、イライラするんです。1日中、何をするのでもなく、ただパソコンを眺めて何をしているんだか。食事のときもずっと無言だし……美味しいだの、マズいだの、何かいえないのでしょうか」
定年前後で夫婦の“ズレ”が生じることはよくあること。なかには物理的に距離を置きたいと考えるケースも珍しくありません。株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護『パートナーとの老後生活に向けた意識調査』によると、「パートナーとの老後の暮らし方」として、「パートナー関係を維持しつつ元気なうちから別居したい」と回答したのが5.9%、「パートナー関係を解消したい」が4.6%。夫婦の1割は、「老後は別々の道を歩きたい」と考えています。
また各回答の男女割合をみていくと、「パートナー関係を維持しつつ元気なうちから別居したい」は女性が66.7%、「パートナー関係を解消したい」は61.9%。女性のほうが「別々の道」を強く望んでいる傾向にあることがわかります。
恵子さんの何気ないひと言に戦慄を覚えた洋一さん。自分ひとりでは生きていけないことは、よくわかっています。
「別れを切り出されることだけは避けたい。いるだけでストレスを与えているのなら、妻の目に入らないように、外出しようかと……」
できるだけ外出しようと頑張ってみたもの、目的もなく外出するのにも限界があります。「やっぱり『定年後は何をするか』を準備しておけばよかったです」と悔やんだといいます。
そんな洋一さんにも変化があったとか。「万一、1人になったときに困らないようにと、料理教室に通いだしました。まずは簡単な料理くらい作れるようになろうかと。最近は下手ながらほんの少しだけ妻を手伝えるようになりました」。妻・恵子さんのストレスも、いくらかはなくなったのではないか、といいます。
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