(※写真はイメージです/PIXTA)
定年後、何もすることない夫に妻は…
東京都郊外に住む佐藤洋一さん(仮名・66歳)。昨年、65歳になり、42年間勤めた電機メーカーを定年退職しました。管理職として活躍し、同僚からの信頼も厚かった洋一さんには、退職金として3,600万円が支給され、現在は老齢厚生年金と企業年金を合わせて月21万円の年金生活に入っています。
家計の面では大きな不安はありません。しかし、問題はどのようなセカンドライフを送るか。
「40年以上、真面目に働いてきました。妻(恵子さん・仮名・64歳)にも色々と迷惑をかけてきたと思います。お互いの苦労を労おうと、旅行にいきました。いつもの旅行よりも、2つも3つもグレードの上の旅館に泊まって、美味しいものを食べて。あんなにゆっくりできたのは、本当に久しぶりだったので楽しかったのですが――」
旅行から帰ってきてからは、“何もしない”毎日が過ぎていきます。毎朝5時には起床。することがないので新聞の隅から隅まで読み込みます。すると時間は7時。恵子さんが準備してくれた朝食を5分ほどで食べたら、特にすることはないので、ネットサーフィン。するともう昼になっているので、恵子さんが用意してくれた昼食をまたまた5分ほどで平らげ、またネットサーフィンをするか、ネットで韓国ドラマを観るか。夕方くらいに「今日は外に出ていないな」とぼんやり思い、近所を散歩。18時、恵子さんが用意してくれた夕食を、これまでの倍の時間をかけて完食。お風呂に入り、20~21時には就寝――。これが洋一さんのよくある1日のパターン。
「現役のころは、とにかく猛烈に働きました。しかし仕事を辞めたら、こんなにもすることがないなんて。思ってもみませんでした――」
老後の準備として、資産形成には力を注いできました。しかし今となっては、老後に何をするか、前もって準備をしておくべきだったと悔やんでいます。そんな“何もしない”毎日を過ごしているなか、妻・恵子さんが食器を洗いながら、聞こえるか、聞こえないかの微妙なボリュームでポツリ。
「あなたが家にいるだけで、息が詰まりそう……」