
悠々と振舞う名物セレブ…突然の転落劇
東京・港区、駅からも近い抜群の立地に建つタワーマンション。河合静香さん(仮名・65歳)は、そこで夫と2人暮らしをしていました。年齢を感じさせない手入れの行き届いた姿に、腕には常にエルメスのバーキン。マンション住人や地域活動の集まりでも、その存在感は際立っていたといいます。
「でも悪い人じゃないんですよ。気さくで、誰にでも挨拶してくれるし、『私なんて年金月7万円しかないのよ』って自嘲気味に言ってまわりを笑わせたり。ちょっと浮世離れしてるけど、嫌な感じする人ではありませんでした」と語るのは、同じマンションに住んでいた友人だという50代の女性住人。
河合さんの夫は会社を複数経営する敏腕社長という噂。都心の一等地に建つ賃貸タワーマンションの高層階・家賃50万円/2LDKのラグジュアリーライフ、ブランド品を身につけ夫婦でホテルのラウンジを行きつけにする姿は、経済的な余裕を印象づけていました。しかし、そんな表面の華やかさとは裏腹に、家計の基盤は意外なほど脆弱だったようです。
「どんなにお金を使っても、次の月にはお金が入ってきますから……うちは潰れないと思っていたんです」と河合さんは語ります。
ところが夫の会社の業績が悪化。赤字に転落し、河合さんの家計にも直撃しました。マンションの家賃を3ヵ月分滞納。管理会社からの度重なる督促にも応じきれず、ついに契約解除と強制退去の通知が届いたのです。
退去する日、どこから噂が広まったのでしょうか。引越しの様子を遠目から観察しながら、ひそひそ話をするマンション住民がチラホラ。前出の50代の女性住人も、引越しの件は少し前に知ったものの、理由までは聞いていなかったので驚いたといいます。
「引越しの2、3日前にもランチをしたんです。行きつけのホテルのラウンジで。生活が苦しいなんて様子、みじんも感じませんでした」