夢に見たマイホームを手に入れたものの、環境の変化や予期せぬ出来事によって、その返済が過度な負担となるケースは決して少なくありません。住宅ローン破綻に陥る人は皆「まさか自分が……」そう思うようです。実情をみていきます。
少しでいい。働いてくれないか…湾岸タワマンに住まう年収1,300万円・鉄壁のプライドの持ち主「45歳エリート商社マン」が年下妻に懇願した理由

タワマンは売却したくない…

このままでは、老後には退職金で返済できないほどの借金が残ることになります。このような状況ですが、どうしてもタワマンの売却はしたくないという中野さん。タワマンに住んでいるという自負が彼の自信を支えているようです。立地がよいので、売れる可能性も高いですが、ここでは本人の意向どおりタワマンを売却しない方向での策を考えていきます。

 

急いで対策を取らなければなりません。中野さん自身が当初の住宅購入で勘違いしていたこともあります。ネット銀行で借換えをする計画を立てていたようですが、最初に全額ローンで組んだ場合、借換えは難しくなります。ネット系銀行は特に、物件(土地・建物)の担保価値を重視する傾向があります。担保価値に対して借入額が多い=オーバーローンとして、融資を断ることが多いのです(担保価値に対する融資率は金融機関で差があります)。

 

借換えを考えるならば、最低でも諸経費相当額を自己資金として最初に入れておくか、借換え前に繰上げ返済をして元金を減らすことが必要です。また、将来の収入が中野さんのように減ってしまうことは、最初の購入時の「リスク」として資金計画に織り込んでおくべきでした。それは単純に資金計画を減らすというだけではなく、維持費のことや家族の人数が増えること、家族が病気になることも含めて対策を取っておく必要があります。

 

中野さんは転職も考えているようでしたが、より傷を深めるだけです。人手不足とはいえ、ミドル層の転職は厳しい実情があります。転職するとさらに年収が下がる可能性は高いでしょう。劇的な改善策というよりも、当たり前のことをするだけのことです。

 

・収入に見合った支出に削減し、貯蓄に回すこと

・計画的で無理のない資産運用で老後資金を増やす努力をすること

・夫婦でお金について話し合う習慣を持つこと

 

この3つしかやれることはありません。まさに家計運営の基本です。副業を持つという手段もあるかもしれませんが、それ以前にやるべきことがあります。中野さんは年収が下がったといっても、決して低所得ではありません。そこを自覚して家計改善できるかどうかは、夫婦の意思にかかっています。