
「仕送りやめるわ」…電話一本で終わった親子関係
「もう、仕送りやめるわ」
会社員の石田大輔さん(仮名・48歳)は、父・誠さん(仮名・76歳)との電話を切ったあと、しばらく受話器を見つめたまま動けませんでした。どこかで「ついに言ってしまった」と思う気持ちはありましたが、それ以上に、これ以上支え続けることはもう無理だという確信の方が強かったといいます。
72歳になる父・誠さんの月の収入は、老齢年金の12万円ほどだけ。それだけでは生活は成り立たず、10年以上前から、大輔さんは毎月5万円を仕送りしてきました。父の暮らしを支えるために、という思いでした。
しかしある日、実家に立ち寄った大輔さんは、父がパチンコ店に通っていることを知ります。まさかと思い問い詰めると、毎月の仕送りがほぼすべてパチンコに消えていることが判明しました。
「別に、遊びに使うなとは言いません。でも、10年以上ですよ? こっちは子どもの教育費に住宅ローンにって、必死で家計をやりくりしてたのに、全部ギャンブルに消えてたなんて……正直、人として信じられませんでした」
冷静に話してはいるものの、大輔さんの言葉の端々には怒りと悲しみがにじみます。
父・誠さんにとっては、ギャンブルは日々の気晴らしでしかなかったのかもしれません。しかし、大輔さんにとっては、長年の努力と信頼が裏切られた瞬間でした。そしてこの事件をきっかけに、「もう、支える意味はない」と感じ、ついには「絶縁」を選ぶこととなったのです。