日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類があります。公的年金を受け取るのは老後だけではありません。一定の障害状態であると認定された場合に給付される障害年金や、亡くなった方の遺族に給付される遺族年金も、その後の生活を支えるための公的年金です。しかし、現行の遺族年金制度には落とし穴もあって……。本記事では清水さん夫妻(仮名)の事例とともに、遺族年金の仕組みについてFP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、内容の一部を変更しています。
家賃5万円のタワマン住まい〈世帯年収1,000万円・仲良し夫婦〉35歳夫が急死…29歳新妻、“まさかの遺族年金額”にさめざめ「情けをかけてくれてもいいのに」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺族年金の現行ルール

遺族年金には、貴族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。国民年金や厚生年金の被保険者である竜也さんが亡くなったことによって、竜也さんに生計を維持されていた真由さんは受け取れる可能性があるでしょう。支給を受けるための要件、支給対象となる遺族を以下に紹介します。

 

遺族基礎年金の受給要件

1~4のいずれかの要件に当てはまる場合に支給されます。

 

1. 国民年金の被保険者が亡くなった場合

2. 国民年金の被保険者であった方が、日本国内に住所があり、60歳以上65歳未満の期間に亡くなった場合

3. 保険料納付期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上あり、老齢基礎年金を受け取っている方が亡くなった場合

4. 保険料納付期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上ある方が亡くなった場合

 

遺族基礎年金の受給対象となる遺族

1・2、いずれかの要件に当てはまる場合に支給されます。

 

1. 子のある配偶者(子は年齢等の支給要件を満たす場合)

2. 子

 

遺族厚生年金の受給要件

1~5のいずれかの要件に当てはまる場合に支給されます。

 

1. 厚生年金の被保険者が亡くなったとき

2. 厚生年金の被保険者期間に初診日があり、その病気やケガを原因として5年以内に亡くなった場合

3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が亡くなった場合

4. 保険料納付期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上ある、老齢厚生年金を受け取っている方が亡くなった場合

5. 保険料納付期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上ある方が亡くなった場合

 

遺族厚生年金の受給給対象となる遺族

生計を維持されていた遺族で、最も優先順位の高い方が受給できます。

 

1. 配偶者(子のない30歳未満の妻は5年間のみ、子のない夫は55歳以上である方に限る)

2. 子(年齢等の支給要件を満たす場合)

3. 父母(被保険者が亡くなった時点で55歳以上である場合)

4. 孫(年齢等の支給要件を満たす場合)

5. 祖父母(被保険者が亡くなった時点で55歳以上である場合)