人生100年時代、年金支給開始年齢の引き上げも現実味を帯びる中、50代は「あと20年は現役」という意識を持つことが不可欠です。では、仕事を楽しむ人はいかにして「生き生きとした老後」を掴み、そうでない人はなぜ「終わりのない停滞」に陥るのでしょうか? 本記事では、保坂隆氏の著書『精神科医が教える 50代からの心おだやかな暮らし方』(有隣堂)より、老後を決定づける50代の働き方について解説します。
華やかなキャリアを積むも、定年退職日は形式的な送別会と花束だけ。サラリーマン人生終焉の「60代男性」が会社から丁重に宣告された「残酷な現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

同窓会で露見…50代で「輝いている人」と「そうでない人」の差

ときどき私のところに顔を出す50代半ばのイベント会社勤務の男性がいます。彼は話すたびに「歳を重ねると、企画のひらめきとか、デザインのセンスとか、若い人にかなわないなぁとショックを受けることがけっこうあって……」などとネガティブなことを言います。

 

しかし、見た目も若々しく、新しい情報をよく知っていますし、話をしていても「鋭い見方をするな」と感じることも多い人で、そんなに悲観することはないのにと思ってしまいます。

 

そんな彼は、「同窓会などに行くと、楽しく仕事をしている人とそうでない人はすぐにわかりますね」と言います。

 

仕事を楽しんでいる人は判断も早ければ行動もてきぱきと機敏なのだそうです。一方で、そうではない人は「そう言えば以前、こんなことがあった」というように過去形の話が多く、あるいはテレビや新聞で聞いたような話ばかり。自分の世界を失ってしまったことが、はっきり見てとれるといいます。ある年代になったからといって定年モードに入るのは早すぎます。

 

50代は体も元気なら、頭もまだまだ働きます。ベテランだからこそ貢献できること、ベテランならではの役割は、職場にはたくさんあります。若い人を導く意味でも、少子化を補う意味でも、シニアはもっともっと、ベテランにしかできない働き方で社会に貢献したほうがいいと私は考えます。

 

「歳を重ねても、ずっと仕事をし続けたいと思っているけれど、会社からは必要とされていないようだ」と嘆く人もけっこう多いようです。しかし、これは「言い訳に過ぎない」と言ったら言いすぎでしょうか。歳を重ねても楽しく仕事をできるかどうかの分かれ道の一つは、早い段階から、「仕事を楽しむ」という強い意志を持って働くかどうかでしょう。私はシニアこそ、軽やかに楽しみながら仕事をするべきだと思っています。