(※写真はイメージです/PIXTA)
投資への関心の高まりとともに横行する“投資詐欺”
将来への不安から、「資産運用を始めなければ」と考える人が増えています。2024年からNISA制度が拡充・恒久化され、利用者も増加。投資への関心は高まる一方です。
しかし、その一方で巧妙な詐欺も横行しています。現代では、知人の紹介やインターネット(SNS)を通じた情報収集が当たり前になりました。正確で信頼できる投資情報も多く存在しますが、同じ経路が詐欺の入り口にもなり得ます。客観的に見れば「怪しい」と感じる話でも、いざ当事者になると冷静さを欠き、見抜けなくなるケースが少なくありません。
元同期からの連絡
Aさん(58歳)は、東京都内のメーカーに勤めて35年。月収は62万円(賞与を除く)程度です。これまでは住宅ローンに子の教育費と、目の前の生活をやりくりするのに必死になっていました。しかし、そろそろ定年後の生活を本格的に考えなければならない時期に差し掛かっています。再雇用も選択できますが、Aさんの会社の定年は現状60歳です。
「退職金は2,000万円もらえる見込みだが、手を付けたくない。年金だけでは足りないってよく聞くけど、自分の場合はどうなんだろう……」
漠然とした不安から、なんとなく老後資金を積み立ててはいました。「いくらあれば安心か」「どの商品を選んだらよいのか」と迷いながら、具体的な計画は立てられないままです。
そんなある日、かつての同期Fから久しぶりに電話が入ります。営業成績が優秀だったFさんは 10年ほど前に転職し、年賀状のやり取りだけが続いている状態でした。明るい声で「最近面白いことをやっている」と語るFさんに興味を抱き、Aさんは会って話を聞くことにします。
「最近、面白い投資やっててさ。年利30%出てるんだよ」
Fさんはそう語りながら、スマートフォンを見せました。確かに、毎月の分配金として数十万円が入金された履歴が並んでいます。
「これで資産を増やして、定年になったら不動産投資と年金で暮らすつもりだよ」と余裕を見せるFさん。
Aさんは「そんな夢のような話が本当にあるのか……」と少し疑いました。Fさんによると、会社名は有名な金融機関の関連会社のようで、かつての同僚である数字に強いFさんが積極的に資金を投入しているという事実に、Aさんはだんだんと引き込まれていきます。