
結婚40年、ある朝、夫が「苦しい」といって
結婚40年を迎えていた河野恵子さん(仮名・65歳)。2歳年上の夫の徹さん(仮名)を亡くしました。その日、徹さんは朝食を終えたあと、「ちょっと胸が苦しい」といってソファに横になっていたとか。最初は様子を見ていたものの次第に呼吸が荒くなり、救急車を呼んだときにはもう意識を失っていました。病院で告げられた死因は急性心筋梗塞。あまりにも突然の出来事でした。
配偶者を突然亡くした場合、やはり気になるのが今後の生活。配偶者への経済的な依存度が高ければ高いほど、生活を維持できるかどうか不安になるものです。
恵子さんが得られたのは、まずは公的な保障。徹さんは月18万円の年金を受け取っていました。一方、恵子さんは月15万円ほどの年金を受け取り始めたばかり。この場合、徹さんが亡くなったことで恵子さんが手にできる遺族年金は月9.5万円。ただし、老齢厚生年金を受け取っている場合、遺族厚生年金との差額分だけが給付されるというルールがあります。恵子さんが受け取る老齢厚生年金は月8万円ほど。つまり恵子さんが実際に受け取れる遺族年金は月1.5万円ほどになります。自身の年金と合わせると、月16.5万円。これがこれからの生活の基盤になります。
さらに恵子さんは、私的な備えとして生命保険も受け取ることができました。元教師という徹さん、退職時には2,200万円ほどの退職金を受け取り、手つかずで残っています。
「万一のことなんて起こるはずがないと思いつつ、備えはしっかりとしていたので、お金の心配はないのですが――」
恵子さんのもっぱらの不安といえば、90歳になる義父のこと。実は3年ほど前から認知症が進み、これまで徹さんが隣町にある実家に住み込み、介護を一手に引き受けていました。つい最近まで働いていたこともあり、義父の介護問題とは一線を引いていましたが、徹さん亡き今、対峙しなければいけなくなったのです。