血糖値は200を超えたら危険、という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、血糖値は測るタイミングによって差が出ることに注意が必要です。糖尿病専門医である大坂貴史氏の著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、52歳女性の事例をもとに糖尿病の診断基準となる「空腹時血糖値」について詳しくみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
糖尿病は太っている人の病気でしょう?…身長154cm・体重44kgの52歳女性「糖尿病の疑い」に狼狽。健康診断で“明らかな異常値”を検出していた「とある項目」【糖尿病専門医が解説】
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健康診断の当日。健診は午後からで、案内にあったとおり朝食を7時までに済ませて、指定時間にクリニックに向かった。問診票にも、朝食を食べたことを記載した。その日の朝食も、普段どおりにデニッシュとコーヒーだ。朝なんて食欲がないから、大した量は食べていない。
そして、いつものように身体測定やら血圧検査、採血、尿検査、大嫌いなバリウムを飲んでX線検査も受けた。そして、いつものようにB判定が1つ2つあっても、それ以外はA判定だと思っていた。しかし、「糖代謝検査」の判定欄には確かに「C」と書かれていた。
糖代謝ということは、「糖尿病」の疑いがあるということなのだろう。でも、糖尿病はたくさん食べたり、太っていたりする人がなる病気のはず。夫ならわかるけれど、私が「糖尿病」であるはずがない。症状だってないし。だから、この疑惑を晴らすために、私は「糖尿病外来」を訪れている。
受診は午前中。血液検査のために前日は21時までに夕食を済ませ、朝食は抜いてくるように言われたので、その指示に従った。そして最初に計測と血液検査、尿検査が行われた。
「横田みずほさん、診察室にお入りください」
「はい。失礼いたします」