炭水化物は体内のエネルギー源であり、摂取すると血糖値が上昇します。しかし、血糖値を抑えるために「炭水化物を摂らない」という方法は避けたほうが良いことをご存じでしょうか? 糖尿病専門医である大坂貴史氏の著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、バランスのよい食べ方を身につけるための簡単な方法と、意外と知らない炭水化物の重要性を紹介します。
血糖値を下げるために「炭水化物を抜く」が良い方法とはいえないワケ【糖尿病専門医が解説】
〈本記事の登場人物〉
横田みずほさん(52歳・女性)
1児の母。冷え性が悩み。糖尿病とサルコペニア肥満※の可能性があると診断され、食生活を改善していくことに。医師によると、タンパク質を豊富に含む食材や米などがよいとのことだった。具体的な量やバランスに関する横田さんの質問に、医師は「プレート法」を紹介する。
※サルコペニア肥満とは……加齢により筋肉量が減少し、筋力や身体能力が低下した状態の「サルコペニア」と、糖尿病をはじめ高血圧や脂質異常症などを悪化させる「肥満」が重なった状態のこと。
「プレート法」で食事の量とバランスを把握
米やタンパク質を含む野菜などについての理解は深まったが、何をどれくらいのボリュームで食べたらいいかはまだイメージができない。
「先生、1食で食べたらいい量がよくわからないのですが……」
「“プレート法”をご紹介しますね」
先生は待ってましたとばかりに、即答してくれた。
「先ほど、おかずは銘々皿によそって提供するのではなく、食卓で自由に取るスタイルとおっしゃっていましたね。それでは自分が食べている量を把握できませんね」
「確かにそうですね」
先生は手元にあったメモ用紙に円を描き、それを半分に分けた。そして、そのうちの右半分をさらに半分に区切った。
「この円がお皿です。直径23㎝ほどの皿を用意していただき、左半分を『野菜ゾーン』、右の4分の1ずつを『タンパク質ゾーン』『炭水化物ゾーン』に分けます。皿の左半分に野菜をのせ、右下にタンパク質が多いおかずを、右上にご飯などの炭水化物が多い主食をのせます」
「“見た目”で量を把握できそうですね」
「そういうことです。いちいち重さを量るのは大変な作業なので、見た目で感覚的に量を覚えることができていいと思いますよ」
「わかりました」