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「やりたいと言ったことは何でもやらせる」がモットーだったが
地方のとある市役所職員である西川信一さん（仮名・52歳）。月収は45万円ほど。2歳下の妻はパート勤めをして家計を支えています。安定した収入ではありますが、決して裕福ではなく、堅実な生活を送ってきたといいます。
そのようななかでも、子どもの教育には力を入れてきたという西川さん。「教育こそ最大の投資」がモットーだったのだとか。
「私は地元の大学に進学しましたが、本当は上京したかった。経済的なことを含めて断念しましたが、心残りがあって。子どもたちにはこのような思いをしてほしくなくて、やりたいと言ったことは何でもやらせてきました」
そのような思いが子どもたちにも伝わったのでしょうか、長男も次男も高校は地元でもトップクラスの進学校に進み、長男はひと足早く、東京の有名私大へ進学。学費のほか、計月12万円の仕送り。「おかげで、私たちの生活は本当に貧しいものですよ」と笑う西川さん。それでも長年の心残りを、子どもを通して叶えたことに、どこか充実感を覚え、たとえ自分たちの生活が苦しくても何てことないと思っています。
次男も長男に続けと、東京の一流私大を第一志望に勉強第一で頑張っていました。しかし、順風満帆に見えていた西川家に暗い影を落とし始めます。
次男、大学受験失敗。元々、本番に弱いタイプだという次男は試験で実力を発揮できず、A判定だった第一志望に不合格。第2志望、第3志望も不合格が続き、滑り止めで受けた大学だけ受かることができました。
しかし「僕はあんな大学に入るために頑張ってきたんじゃない」と次男。西川さんにとっては、十分努力に値する大学だと思っていましたが、当の本人は納得がいかない様子。
「お父さん、浪人させてください」
家計のことを考えると「早く大学に進学し、早く社会人になってもらって、教育費の負担から解放されたい」が本音でした。しかし、やりたいと言ったことは何でもやらせてきた西川さん。ここで「ダメだ」とはいえず、1年間の浪人生活を認めることになりました。予備校にかかるお金は100万円強。さらに夏休みや受験直前には、別途、講習費がプラス。思わず眩暈を起こす金額です。
しかし、想定外のことはさらに続きます。
