悠々自適な老後を考えて、万全な準備を進めていても、思いもしない障壁が立ちはだかることも。それが大切な「家族」ということも珍しくはないようです。
もう、限界です…〈年金とパート代月20万円〉を食い潰す「出戻り40歳次女」に悲鳴。驚愕の〈貯金通帳残高〉に「68歳母」、思わず号泣 (※写真はイメージです/PIXTA)

忍び寄る「親子三世代共倒れ」の現実

さらに本田さんが一番恐れていることは、自分が病気になったり介護が必要になったりしたときのこと。遠くに住む長女は頼れません。次女は……言わずもがな。今は病院いらずですが、70代、そして80代になれば、医療費や介護費用が重くのしかかってくるのは間違いないでしょう。

 

このような状況下、「親を頼る子」の存在は、時にはリスクになります。ランドセルや学習机、給食費、修学旅行費用、再来年には上の子(孫)は中学校に進学するため、色々と買い揃えないといけません。孫の成長とともに支出が増えていきます。次女が思うように働けない状況では、本田さんが「祖母」以上の役割を果たす必要があるのです。そして、そのことがさらに精神的プレッシャーになっていました。

 

「私が倒れたら、あの子たちはどうするのか。そればかりが頭に浮かぶんです」

 

厚生労働省や総務省の資料からの概算で年齢別に要支援・要介護認定者の割合をみていくと、60代後半では3%ほどなのが、70代前半では6%、70代後半では12%、80代前半では26%、80代後半では60%と、年齢とともに加速度的に増えていきます。

 

孫は小学生。成人するまで10年以上あります。それまで本田さんが経済的にも支えるとなると、「私に何かあったら――」と不安になるのは当然のことです。

 

本田さんは最近、役所の福祉課を訪れ、さまざまなアドバイスをもらったとか。母子世帯へのさらなる支援を知ることもでき、家計は幾分、楽になる見通しもたったとか。何よりも困ったときに相談できるホットラインと繋がったことで、精神的な負担は随分と軽くなったといいます。

 

子育てが終わり、あとは自分たちの老後を見据えて生活設計を考えるだけ――そのとき、「親を頼る子ども」のことを考慮している人はどれだけいるでしょうか。老後の生活設計には、かなり広い視野が必要なのかもしれません。

 

[参考資料]

厚生労働省『被保護者調査』

厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』、総務省『人口推計月報』