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「自分はカスハラをしている」…自覚ありは3割
このような不安から、大西さんの言葉は知らず知らずのうちに攻撃的になっていたそうです。そのことに気づいたのは、家族にいわれたひと言がきっかけでした。
「最近ちょっと怒りっぽくなってない? スーパーでも文句ばっかりいってる人みたいに見えるよ」
その言葉に衝撃を受けたという大西さん。そこで自身の行動を振り返ってみると——自身が「カスハラ老人」と化していることに気づいたといいます。
「スーパーのレジでクレームをいっている人たちをみて、“自分の主張ばかりして恥ずかしい奴だな”とか思っていたのに……いつの間にか自分がクレーマーになっていた」と大西さん。そのような自分にも絶望感を覚えたといいます。
弁護士ドットコム株式会社が行った調査では、「カスハラをしたことがある」と回答した人が10.1%。また、「自分の言動がカスハラにあたる可能性があると認識していたか」と尋ねたところ「認識していた」はわずか28.4%でした。ちなみにカスハラをした動機のトップは「正当な批判・論評だと思ったから」で60.5%。「怒りが収まらなかったから」、「イライラする感情を発散したかったから」、「攻撃して構わないと思ったから」、「嫌がらせをしたかったから」と、何とも身勝手な理由が続きます。いずれにせよ、カスハラは大半の人が自覚していないことを垣間見ることができます。
「自分は被害者という意識でいっていました。結果的に誰かを傷つけていたかもしれません。年金事務所への電話も、今思えば、知らないことへの怒りだったのでしょう」
とはいえ、老後の不安が消えることはありません。「働けるうちは働き収入を得る」「運用して増やす」といった解決策がありますが、大西さんはこれ以上働く気はないし、投資に対しても否定的。「できるだけ節約して、資産の寿命を延ばすしかない」。最近になって、心の安定のために、自ら家計簿をつけるようになったといいます。
[参考資料]
・総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』
・弁護士ドットコム株式会社『カスタマーハラスメントに関する実態調査』