(※写真はイメージです/PIXTA)
現役時代からできること
国民年金の老齢基礎年金は、年金の納付期間に応じて金額は変わりますが、20歳から60歳までの40年全期間納付することで増額させることができます。昭和31年4月1日以前生まれの人の令和7年度における老齢基礎年金の満額は、6万9,108円です。
老齢厚生年金は、現役時代の収入によって受給額が増減します。受給額を計算する基は標準報酬月額という、実際に受け取った給与を標準報酬月額表に照らした等級が用いられ、標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った平均標準報酬額で計算されます。
標準報酬月額の等級は32等級まであり、上限は65万円。たとえ収入が80万円あったとしても、老齢厚生年金の基準となる収入では65万円となります。現役時代の生活水準が高い場合には、年金に頼る生活になってしまうと収入が大きく減少してしまうことに注意が必要です。
今回の別府さんのケースでも、現役時代の収入が多かったことで生活水準が知らず知らずのうちに高くなり、それが当たり前になってしまっていました。
年金をもらうようになったらそれなりの生活をしようと思っていても、これまでの習慣を急に変えることは非常に難しいでしょう。結局、貯蓄の取り崩しをして生活水準を落とすことができなくなる人も少なくありません。できればまだ若いうちからライフプランを考えたファイナンシャル・プランニングを行い、将来のキャッシュフローを可視化して、問題点を早期に見つけて対策を打っておきたいものです。
〈参考〉
※ 総務省「2024年 家計調査(家計収支編)」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2024.pdf
吉野 裕一
FP事務所MoneySmith
代表