“タイパ”が重視される現代では、食事も簡単に済ませたいと“とある飲み物”を日常的に飲んでいるという人は少なくないはずです。しかし、『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)著者で糖尿病専門医の大坂貴史氏は、その飲み物について「おすすめしない」と断言します。その飲み物とはいったいなんなのか……理由とともに、血糖値安定のために摂取したい食品もあわせてみていきましょう。
ビタミン不足が気になる人へ…糖尿病の専門医が「やめたほうがいい」と断言する“意外な飲み物”【代わりに食べるべき“ある果物”とは?】
「野菜ジュース」は、野菜とは“完全に別”の食品
「野菜ジュースの話が出ましたが、坂田さんは野菜ジュースを飲みますか?」
「はい。ランチは外食が多いので、野菜不足にならないように野菜ジュースを買うことがよくあります」
「そうですか。そのほかに、カロリーを含むドリンクを飲みますか?」
「はい。糖質制限をする前は、美容効果を期待してビネガードリンクを毎朝飲んでいました。あとは、カフェでハニーラテをよく頼みます」
「わかりました。やめられそうですか?」
「やめたほうがいいですか?」
やめられますと即答できない私は、疑問形で返事をしてみた。
「そうですね。甘い飲み物は糖質の吸収が非常に早いので、血糖値を急激に上げてしまいます。
すると、今の坂田さんのようにインスリンの分泌がうまくいかないと血糖値が高い状態が続きやすくなります。また血中に糖が増えれば、中性脂肪も増加して太りやすくもなります。
糖尿病だけに限らず、健康維持のためにカロリーを含む甘いドリンクはやめるのがベストです」
「野菜ジュースもですか? ビタミン不足になりそうな気がして……」
「野菜ジュースからは食物繊維が取り除かれているので、完全に野菜とは別の食品だと思ってください。健康のためにという謳い文句に誘われやすいですが、甘みは糖分なので、血糖値を上げる飲み物です。
ビタミンはジュースではなく、野菜から摂りましょう。もし不足が気になるなら、食後にみかんを1個食べるほうがずっといいですね。ビネガードリンクも同じ理由でやめるのがベストです」
「では、ハニーラテははちみつを抜いて、ラテならOKでしょうか?」
「そうですね。ラテがベターです。ただ、牛乳にも乳糖という糖が含まれるので、コーヒーならブラックがベストです。普段飲むなら、水かお茶にしましょう」
「糖質制限はしなくていいけれど、甘い飲み物は制限したほうがいいのですね」
「糖質とひとくくりにしがちですが、穀類には糖質以外に食物繊維のほか、さまざまな栄養素が含まれます。いっぽう、ジュースは“糖質の塊”です。水に溶けてさらに体に吸収されやすくなっているので、とても危険です。
あれもこれもやめてとうるさく言いたくないと思っていますが、飲まなければ血糖値が下がるので、甘いドリンクはやめたほうがいいです」
甘いドリンクに頼ってきたので不安はあるが、ここは先生の言うとおりにしよう。
〈先生からの処方箋〉
糖尿病を遠ざけるには、甘いドリンクと決別を!
大坂 貴史
糖尿病専門医・指導医
総合内科専門医