〈本記事の登場人物〉

坂田加奈子さん(43歳・女性)

1児の母。職場では課長を務めるワーキングマザー。父が糖尿病を患っていることから健康には気をつけていたが、健診でまさかの「再検査」に。内科クリニックで「OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)」を受けたところ「糖尿病」と診断を受けるも、その後専門医に診てもらったところ糖尿病ではないことが判明。内科クリニックでの“誤診”の原因は、極端な「糖質制限ダイエット」の最中にブドウ糖を摂取する検査を受けたことにあった。しかし専門医は、坂田さんが「糖尿病の一歩手前である“境界型”には該当する」と続ける。

主食を抜かないで…「糖質制限生活」の危うさ

「ここからが本題です。坂田さんの糖質制限生活は今日で終了しましょう。なぜなら、糖質制限によって血糖値が上がりやすくなっているからです」

「は、はい……。ご飯を食べていいということでしょうか」

「もちろんです。食事から主食を抜かないでください。勘違いをしている人もいらっしゃいますが、ご飯などの炭水化物が多い食品には糖質だけでなく、食物繊維が含まれます。食物繊維こそ血糖値を安定させる重要な成分です」

「ご飯やパンは糖質が多いから、血糖値の敵なのかと思っていました」

「食物繊維の多い主食であれば、血糖値が上がる心配は少ないです。食物繊維には“水溶性”と“不溶性”の2種類があり、特に水溶性食物繊維が水分を吸収してゲル状になり、食べたものの消化スピードを遅くします。これによって胃から小腸への糖の移行スピードが遅くなり、血糖値の上昇を緩やかにすると言われています」

「それは聞いたことがあります」

「食物繊維は消化されにくいため、胃の中に長くとどまるので満腹感が長く続き、食べすぎを防ぐ効果も期待できますよ」

でも、それならなぜ、私は“糖質制限ダイエット”でやせたのだろう?