地震大国である日本において、住まいの安全性は最重要課題です。しかし、耐震性に優れた家づくりは、コストや快適性とのバランスが難しいというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。本記事では平松建築株式会社・代表取締役の平松明展氏の著書『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)より、WB工法を取り入れた「コスパ最強&安心な家」の事例とともに、木造住宅ながら長く安心して暮らせる住まいを実現するためのポイントを解説していきます。
地震がきても倒壊せず、コスパのよい「日本の家」とは?…木造、真四角、あとひとつの「超重要・条件」 (※写真はイメージです/PIXTA)

木造住宅だけど、高い耐震性・耐久性を誇るコスパ最強の「WB工法(ダブルブレス工法)」

真四角の家は耐震性を高めやすいことをお伝えしましたが、初期費用も比較的軽減しやすいです。シンプルな構造のため、建材も軽減できるからです。また、「陸屋根(ろくやね)」とか「平屋根(ひらやね)」というゆるい勾配の屋根にしていることでも外壁面積を減らせます。

 

もちろん真四角の家にするには土地の条件が必要です。家づくりを土地探しからする場合は、頭に入れておくとよいでしょう。土地はあとから変えることができません。同じように家の性能も後づけが難しい特性があります。

 

たとえば事例の家は、構造にWB工法を採用しています。簡単に説明すると、床下から壁を伝って屋根に空気が流れる仕組みです。これによって温度も湿度も一定に保たれるわけです。また、室内の湿気も外壁を通じて屋外に流れていきます。これは1年中同じ作用が働き、屋外と室内の温度差で生じる結露も発生しないため、外壁や屋根の建材が劣化しません。つまり耐久性が保たれるわけです。耐久性の高い設計をしていれば、必然的に耐震性も長期にわたって高いままです。

 

高性能を備えた家は、修繕やメンテナンス費用も軽減されます。さらに太陽光発電を設置していれば、光熱費も抑えられます。冒頭で耐震性だけに注目すれば、鉄骨造やRC構造が適しているとお伝えしましたが、高性能を装備すれば木造建築も遜色(そんしょく)がありません。

 

高性能を実現する工法はさまざまにありますが、トータルに見てWB工法の適応性が高いといえます。

 

[図表7]構造にWB工法を採用した家

 

 

平松 明展

平松建築株式会社

代表取締役