(※写真はイメージです/PIXTA)

少ない自己資金で始められることから注目を集めている「アパート経営」。年収700万円以上、自己資金300万円程度と参入するハードルは低いですが、失敗せずに長く続けるためには押さえておくべきポイントをしっかりと把握しておかなければなりません。ケイアイスター不動産「アパート事業部」部長の戸塚さんと「コンサルティング営業課」課長の藤井さんに、気をつけるべきポイントを聞きました。

信頼できる会社を見抜く!検査体制と性能評価の重要性

――次に、建築費や建物の金額について知っておくべきポイントがあれば教えてください。 

 

まず前提として、実際に建築にかかった金額そのままで販売する会社というのはあまり多くはありません。建物の金額というのは、たとえば利益を乗せるなどしてある程度操作ができてしまうもので、売主側で決められるわけです。ですからまったく同じ金額だったとしてもまったく同じ仕様とは限りません。

 

では、建物の価値をどのように考えればいいかというと、ひとつの方法は、少しでも疑問に思ったことがあったら、担当者に質問して確認することです。たとえば他社との違いを質問してきちんとした回答が得られないようであれば、その担当者は自分の会社の建物の価値を理解していないということなので、建物の金額もあまり信用しないほうがいいかもしれません。

 

――担当者に質問する際の重要なポイントはありますか?

 

建物の検査体制の内容を聞いてみるとよいでしょう。なぜなら会社によって特に違いが出る部分だからです。その質問に対してどの程度答えられるかで会社の信用度がわかります。また、第三者による検査資料などもあればより信頼度は高まると思います。なによりアパート審査の最たるものは「性能評価」ですので、「住宅性能評価書」をきちんと取得している会社かどうかということもひとつの判断基準になると考えられます。

 

ワンルーム投資は1棟アパートを購入してから

――ワンルームマンションへの投資についてはいかがでしょうか?

 

ワンルームマンションへの投資もすべてがダメかというとそうではありません。戦略的にリスクと使い方を理解して投資するなら悪くないと思います。

 

ただ、ワンルームマンション投資だけに投資をするのはリスクがあると考えています。もし投資するのであれば、まず1棟アパートを購入してからワンルームマンション投資をしたほうがよいかと思います。ワンルームマンションを購入してから1棟アパートを購入しようとしても、融資が通りにくくなります。1棟アパートは、借入金の返済を家賃収入で賄えるため、収益を本業とは別の収入として見込んでもらえますが、ワンルームマンションは利益のない単純な負債として見られることが多いからです。

 

一方、1棟アパートを購入した後にワンルームマンションを購入する場合、年収倍率や残債、返済比率など個人の属性にもよりますが、前述の通り、収益を本業とは別の収入として見込まれるため、融資の幅が広がる可能性があります。つまり順番によっては、投資できる量が変わってしまうリスクがあるので、まだ投資を検討している段階であれば、まずはアパート経営を十分に検討したあとに、次の投資先としてワンルームマンションを検討するのがよいのではないかと思います。

 

サブリース契約について

――業者が物件をオーナーから借り上げるサブリース契約について、気をつけるべきポイントは?

 

サブリース契約は収入が安定するので必ずしも悪いわけではありません。ただ、実際の居家賃をベースに決まった割合を保証してくれる会社なら問題ないのですが、実際の入居家賃ではなく決まった保証家賃を設定している会社があるので、そこは気をつけるべきでしょう。なぜなら、その会社の都合による家賃で保証されてしまうことになり、実際の入居家賃が上がっても恩恵が受けられないわけです。また、サブリース契約は借地借家法で守られており、オーナーからの条件変更や解約することが困難ですので、ご契約前によく検討されることをお勧めいたします。