(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営は、長期的に安定した家賃収入を得ることができる魅力的な投資ですが、その一方で資金計画や税務の知識も求められます。本記事では、アパート取得時や所有中に発生するコストや、資金管理のポイントや個人名義と法人名義の選択についても触れながら、賢くアパート経営を進めるための考え方について木戸真智子税理士が解説します。

安定して家賃収入が得られる「アパート経営」

アパート経営は長期的に安定して賃貸収入を得るという投資の一つです。そのため、長期的な目線が必要になるので、アパート経営をはじめるにあたり、入口から出口まで、ある程度の見通しを立てて投資をしていくことが重要なポイントになります。

 

アパート取得時にかかるコストと税金

では、この入口と出口について、どのようなポイントに気を付ける必要があるのかということについて、まずはアパート取得時点のお話からしていきたいと思います。

 

アパート取得にあたり必要となるのは、土地と建物ですが、この土地についても、もともと所有している土地なのか、土地も合わせて購入を考えているのかでも、先のキャッシュフローが大きく変わってきます。そして、どういう目的で取得するのかということもここで押さえておきたいポイントです。

 

もともと所有していた土地でアパートを始める場合、立地条件はそもそも選択できない状況なので、市場として、その場所がどのようなニーズがあるのかというところもしっかり調査をしておくことをおすすめします。

 

ファミリー向けなのか単身向けなのか、どれくらいの賃料が適切なのか、ペット可にするのか、駐車場や駐輪場などはどれくらい必要なのかなど、この段階で決めることはたくさんあります。

 

その上で、キャッシュフローの見通しも立てておく必要があります。そして、アパート経営をしていく上での目的も整理しておいたほうがよいでしょう。

 

アパート経営は長期的な投資になります。必然的に相続などにも大きく影響してきます。ですので、相続対策を見据えた投資であればなおさら、相続の試算もした上で、投資の選定をしていくことが重要です。

 

また、土地から購入するという場合には、さらに投資額が増えるので、そのための資金調達や金融機関とのお付き合いも重要なポイントです。資金繰りやキャッシュフローについて、より厳しい目線で見通しを立てておくことをおすすめします。

 

不動産投資にはこれが正解というものがあるわけではなく、その方それぞれにあった投資が正解という考え方になります。ですので、自分に合ったアパート経営とはどんなものかということも明確にした上で物件の選定をしていただくことがポイントです。

 

ある程度の条件を決めて、これ以上の条件ではないと投資対象ではないというように一定ラインを決めて物件探しをすることも一つです。

 

アパートの取得にあたり、必要になってくるコストについて、見落としがちなのが税金まわりです。アパート購入費用や仲介手数料などは大きな金額でもあるので、予定はしていてもあとから支払いがくる不動産取得税については、想定していなかったりすることもありますので、余裕のあるキャッシュフローを心がけましょう。

次ページアパート所有中に発生する税金