青色申告と白色申告の違い
まず、最低限抑えておきたいポイントは、個人での青色申告と白色申告の違いです。
白色申告は記載内容が青色申告に比べて貸借対照表がないなど簡略的な記載内容になります。白色申告で確定申告をする場合には、特に届出書などの提出物は必要ありません。記帳方法は簡易的な帳簿でも問題ありません。そのため、自分で申告をする際には、簡単ではあります。物件が少なく、初めて自分で申告するなどの場合には向いているでしょう。
一方、青色申告を選択する場合には青色申告承認申請書の提出が必要です。メリットは最大65万円の特別控除を受けることができます。ただし、帳簿を正確に記録する必要があるため、クラウド会計システムの活用をおすすめします。
会計システムを選ぶ際は、通帳やクレジットカードと連携できるクラウド型のものを選ぶとよいでしょう。不動産投資では、資金管理だけでなく、物件選びも重要です。良い物件が見つかっても、競争相手がいればすぐに売れてしまうことがあります。特に融資が必要な場合は、迅速に金融機関へ相談できる状態でなければなりません。そのため、リアルタイムで経営状況を把握し、試算表をすぐに出力できる体制を整えておくことが大切です。
こうした経営の効率化のためにも、アパート経営においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入は欠かせません。
会計システムで試算表を作成する際、これを単なる申告のための資料と考えるのは非常にもったいないことです。物件ごとの収支や利回り、キャッシュフローの計算、レントロール(賃貸条件一覧表)を一元的に管理できるようにしておけば、経営状況を把握しやすくなり、今後の投資計画も立てやすくなります。まだ導入していない方は、まずこの部分から整備することをおすすめします。
青色申告の大きなメリットの一つとして、「青色申告特別控除」があります。不動産賃貸業が事業的規模である場合、65万円または55万円の控除を受けることが可能です。
事業的規模とは、一般的に「不動産賃貸が5棟以上または10室以上であるかどうか」という基準で判断されます。ここで重要なのは、「5棟かつ10室」ではなく、「5棟または10室」のいずれかを満たせばよいという点です。
また、家賃収入に加えて、土地の貸し付けや駐車場の賃貸収入なども事業の実態に応じて総合的に判断されます。5棟10室という基準は法律で明確に定められているわけではなく、あくまで目安としての基準です。
e-Taxの活用とクレジットカード納税のメリット
事業的規模に該当する場合でも、申告の方法によって控除額は変わります。e-Taxを利用しない場合、控除額は55万円ですが、e-Taxまたは優良な電子帳簿保存を行うと65万円の控除を受けることができます。
e-Taxは慣れれば簡単に利用できるうえ、オンラインでの手続きが可能なため、導入をおすすめします。この10万円の差は非常に大きく、長期的に見ても節税メリットが大きいため、積極的に活用しましょう。
また、納税の方法として、クレジットカード決済を利用することも可能です。単に税金を支払うのではなく、クレジットカードのポイントを活用することで、納税しながらお得に還元を受けることができます。