「仕事はお金じゃない」とはいうものの、給与の高い・低いで多かれ少なかれ一喜一憂するもの。そんなサラリーマンの社会で「俺のほうがすごい」「いや俺のほうがもっとすごい」と繰り広げられるマウント合戦に、戦々恐々とする人たちの姿がありました。
恐ろしい…同窓会開催前、グループLINEで始まったマウント合戦。地方の国立大卒「月収45万円・40歳サラリーマン」が見た自己顕示欲の闇 (※写真はイメージです/PIXTA)

同級生より給与面で見劣り…同窓会出席が億劫に

石田さんは、このやりとりの輪に加わらず、静観していました。地方の国立大学を卒業し、地元の大手企業に勤めるサラリーマン。月収は45万円、年収は700万円を超え、安定した生活を送っています。地元では決して悪くなく、むしろエリートと呼ばれる存在だという自負もありました。しかし、この会話のなかでは、自身の立場がどこか見劣りするように感じられたのです。

 

「みんなが凄すぎるというのもあったのですが、あのマウントの取り合いに、どこか恐怖に似たものを感じました」

 

同窓会という場では、どうしても「成功した姿」を見せたくなるもの。特にグループLINEのような文章だけのやりとりでは、収入や地位といった目に見える指標が強調されがちです。

 

しかし、外資系企業は確かに給与が高いものの、その裏には激しい昇進競争や成果主義のプレッシャーがある。自営業やベンチャーの役員といった立場も一見魅力的に見えるが、収入が不安定である可能性が高い。地元組の石田さんは地味に映るかもしれないが、安定したワークライフバランスを確保しやすく、長年働くことで手厚い福利厚生を受けられる。何を重視するかによって、最適な働き方は変わっていきます。

 

「楽しみにしていた同窓会ですが、段々と、当日を迎えるのが億劫になりました」

 

このまま欠席してしまおうかと考えたといいますが、せっかく企画してくれた幹事の手前、思いとどまった石田さん。同窓会当日、久しぶりに顔を合わせた友人たちの姿を見て、LINE上のやりとりとは異なる印象を受けたといいます。マウント合戦を繰り広げていた同級生たちと実際に話してみると、仕事の悩みや家庭の話を率直に語る姿がありました。「結局のところ、みんなそれぞれの悩みがあるんだな」と思うと、自然と肩の力が抜けました。「自分にとっての成功は他人の評価ではなく、自分が納得できるかどうか。それに気づくことができただけでも、同窓会に参加してよかったと思います」

 

[参考資料]

厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』