
30年以上の積立投資で5,000万円の資産を形成
「最初は失敗ばかりでした。バブル期の高値掴みで大きく損をしたこともあります。でも、コツコツと積み立てることが大事だとアドバイスを受けて、そのとおり投資を続けてきたんです」
30代で株式投資をスタートさせた原田さん。毎月3万円ずつ株式に積立投資を継続。現在の保有株式は評価額で5,000万円、年間の配当利回りは150万円ほどだといいます。月10万円の年金に、月換算で約12.5万円の配当金が加わり、合計で約22.5万円となります。税金や社会保険料などを引いても、一人で生活するには十分な金額です。
「配当金があるおかげで、働かなくても生活できます。年金だけだったら、こんなに自由な老後はなかったでしょうね」と原田さんは語ります。
投資で成功するためには「欲を出さないこと」も重要だと原田さんはいいます。
「短期間で大きく儲けようとすると失敗しますね。最近だと暗号資産に投資したんですが……痛い目にあいました。勉強不足ですね。痛い目にあうたびに原点に戻って、コツコツと投資を進めることが大切だと実感しました」
金融広報中央委員会の令和5年調査によると、金融資産残高が昨年よりも「増えた」と回答したのは全体の39.6%。一方で「減った」と回答したのは19.9%。70代に限ると、「増えた」と回答したのは23.1%、「減った」と回答したのは26.5%でした。
また、増えた理由のトップは全世代では「配当や金利収入があったから」で30.8%。70代では「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」で55.2%(配当収入は39.1%)。減った理由トップは全世代、70代ともに「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」でそれぞれ44.3%、42.0%でした。
「若いころの私には、『少額でもいいから早く資産運用を始めなさい』と伝えますね」と笑う原田さん。長寿社会において、年金だけに頼らない生き方はますます重要になっています。原田さんのように「時間を味方につける」資産形成の考え方は、これからの世代にとっても大いに参考になるはずです。
[参考資料]
金融広報中央委員会『令和5年家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]