遠方に住まう親。様子は気になっても、頻繁に直接顔を合わせることはそう簡単ではありません。しかし小さな変化を見逃してしまうと、のちに大惨事となることも。本記事ではAさんの事例とともに、離れて暮らす高齢親の注意点について社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
事後報告になるんだが、実は…年金9万円・食堂を営んでいた78歳父の「告白」に55歳高校教師の息子、唖然。半年後に見舞われた「最悪のタイミングの大惨事」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「自分の親は大丈夫」の危うさ

親が高齢になるにつれて、身体的・精神的な変化が起こりやすくなることを認識し、遠方に住んでいる場合でも、定期的な連絡や訪問、第三者による見守りなど、状況把握に努めることでのちのトラブルを防ぐことができます。特に、新しい趣味や習慣を始めた場合は思わぬ支出やトラブルにつながる可能性もあるため、注意が必要です。まさか高齢者がスマホ課金をするとは考えもよらなかったのでしょう。スマホ利用については、今後若者だけではなく、高齢者にも注意が必要な時代なのかもしれません。

 

また、親の財産状況を把握しておくことは、相続時のトラブルを防ぐために重要です。保険の加入状況や契約内容、不動産の状況などを確認し、必要に応じて見直しや計画を立てておく必要があります。相続財産が負債超過になる可能性がある場合は、相続放棄という選択肢を知っておきましょう。

 

親が元気なうちに、エンディングノートを活用するなどして、財産や希望を整理しておくことを推奨します。亡くなるタイミングも健康を失うタイミングも誰も予想できませんし、選ぶことはできません。親の老後を安心して見守り、将来の相続に備えるためには早期の対策が不可欠です。

 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表