年金受取額は毎年改定となり、4月からは引き上げとなります。しかし物価高を超える増額とはならず、実質減額。年金が頼りという高齢者の生活は厳しさを増しています。
猫のほうが高いものを食べています…〈年金月7万5,000円〉77歳女性、1日の食費は150円以下の厳しい現実「限界と叫んだところで誰も助けてくれない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

明るい見通しゼロ、限界に近づく「高齢者の生活」

来月4月から年金額は老齢基礎年金が満額の場合は月6万9,308円。令和6年度6万8,000円から1,308円プラスとなります。また厚生年金はモデル夫婦で月23万2,784円。令和6年度22万8,372円から4,412円アップとなりました。

 

【令和7年年金受取額例】

●厚生年金期間中心(20年以上)男性

…17万3,457円(+3,234円)

●国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)の男性

…6万2,344円(+1,156円)

●厚生年金期間中心(20年以上)の女性

…13万2,117円(+2,463円)

●国民年金 (第1号被保険者)期間中心(20 年以上)の女性

…6万0,636円(+1,127円)

●国民年金(第3号被保険者期間)中心(20年以上)の女性

…7万6,810円(+1,431円)

出所:厚生労働省ニュースリリース

 

年金の引き上げは3年連続であるものの、将来の年金の給付水準を確保するための「マクロ経済スライド」により、引き上げ率は賃金の伸びより0.4%低く抑えられ、実質的には目減り。

 

――年金額が増えると思っていたのに……少し生活が楽になると思っていたけど、そうではないのね

 

農林水産省の調査によると、3月3日週のコメの平均小売価格は、5キログラム入りが4,077円。10週連続の値上がりで、調査開始以来4,000円を超えました。備蓄米の放出で小売価格の下落が期待されていますが、思うようには下がらないというのが大方の見方です。

 

――お米の値上がりは痛いわね。3食、ご飯さえ食べられたら生きていける。でも、そのお米が高くなっちゃうとね……

 

日本銀行『生活意識に関するアンケート調査』の最新となる昨年12月調査によると、「景気がよくなった」から「景気が悪くなった」を引いた景況感D.Iは、マイナス55.9。3ヵ月ごとの調査では、マイナス36.9→マイナス49.8→マイナス48.2→マイナス55.9と推移し、厳しい状況が続いています。特に高齢者は「収入は公的年金だけ」というケースが多く、その年金が実質減額となるわけですから、かなりひっ迫していることは明らかです。

 

――最近は本当に何もかもが高い。食料品も日用品も。生活費を抑えるのに毎日必死です。1個80円ほどの羊羹。あれが私の唯一の贅沢。以前は毎週食べることができたけど、最近はそれさえも躊躇してしまいます

 

「もう限界と叫んだところで、誰かが助けてくれるわけではない」とため息をつく幸子さん。できる限りの節約を続けるだけだといいます。

 

[参考資料]

総務省『家計調査 家計収支編(2024年平均)』

厚生労働省『令和7年度の年金額改定についてお知らせします』

日本銀行『生活意識に関するアンケート調査(第100回<2024年12月調査>)』