
義母と実母の介護で戦争状態…次第に追い詰められ
長年、義母の介護をしてきた岡田由美子さん(仮名・63歳)。さらにさかのぼること3年前。実母、和子さん(享年86歳)の介護も必要になり、苦しかった日々を振り返ります。
義母は自宅で転倒・骨折をしたのを機に、移動には杖が必須に。「ひとりでも大丈夫」と義母はいうものの、義父は他界し、広い戸建てにひとり暮らし。さすがに知らぬふりはできないと、自宅が比較的近いこともあり、毎日のように訪れるようになったのが始まりでした。そして年を重ねるに従い、杖があっても移動は難しくなり、車イスが必需品になりました。
さらに実母の和子さんも認知症を発症。由美子さんは、2人の介護に追われる日々を送ることになりました。
【60代妻の親の介護状況】
介護の必要な親がいる割合…33.4%
(内訳)
介護が必要な親、1人…25.6%
介護が必要な親、2人…6.5%
介護が必要な親、3人…1.2%
介護が必要な親、4人…0.2%
出所:国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』
――義母の介護が大変になるなか、認知症の母の介護が加わって、本当に毎日が戦争でした
義母の介護に関しては夫や義兄弟もサポートしてくれていました。一方、由美子さんの兄弟姉妹は遠方に住んでいて、和子さんの介護にあたれるのは由美子さんしかいません。
肉体的にも精神的にも負担が大きい介護。しかも介護すべきは2人。睡眠不足で体調を崩したり、精神的にも追い詰められたりと、介護負担は由美子さんの心身を蝕んでいきました。そして次第に限界を感じ始めます。
そして決定的なことが起こります。由美子さん、義母の家で倒れて救急搬送。疲労によるもので、2日ほど入院しました。ただ「このままでは、3人とも倒れてしまう」と由美子さんは苦渋の決断をします。実母の和子さんを老人ホームに入居させることにしたのです。