生命保険は相続税の節税対策として有効な手段として広く知られています。しかし契約内容や契約変更のタイミングによっては課税対象となるケースも。生命保険に関する税務判断は、慎重な選択が必要です。本記事ではBさんの事例とともに、相続対策としての生命保険の注意点について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
これは非課税になりません…70歳元公務員・亡父が遺してくれた「1,000万円の生命保険金」。涙をこらえて受け取った40歳長男に税務調査官が告げた、まさかの一言【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

生命保険の契約における「契約者」「被保険者」「受取人」の違いと税金の関係

生命保険の契約では次の3つの立場が重要になります。

 

契約者(保険料負担者)……保険を契約し、原則保険料を支払う人

被保険者……保障の対象となる人(この人が亡くなると保険金が支払われる)

保険金受取人……亡くなった際に保険金を受け取る人

 

この関係によって、相続税・贈与税・所得税のどれが課税されるかが決まります。

 

契約者と被保険者が異なる場合の税金

生命保険契約では、「契約者」と「被保険者」が異なる場合、保険の税務処理が複雑になるため、注意が必要です。

 

例:Aさん(父)が契約し、Bさん(子)を被保険者としたケース

契約者(保険料負担者):Aさん(父)

被保険者:Bさん(子)

保険金受取人:Aさん(父)

 

Aさんの死後に判明したこの契約では、保険金が支払われるのは息子であるBさんが亡くなった場合です。しかし、Aさんが亡くなった時点で契約者変更を行うと、解約返戻金相当額が相続財産として課税対象となります。

 

対策と注意点

・契約者と被保険者の関係を事前に確認する

・相続税対策として保険を活用する際は専門家に相談する

 

このようなケースでは、「契約者をだれにするか」「実際に相続が発生したら税金はどのような扱いになるか」を事前に考えておくことで、税金のリスクを回避できます。

 

〈参考〉

生命保険文化センター 税金に関するQ&A

https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/563.html

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表