（※写真はイメージです／PIXTA）
65歳から受け取り始めた「年金額」に肩を落とす
だんだんと「仕事のない生活」に慣れてくると、趣味のガーデニングを楽しんだり、たまに夫婦で旅行に行ったりと、それなりに充実した日々を送っていたという小川さん。しかし、65歳になって年金を受け取り始めたとき、愕然としたといいます。
――年金額を見たとき、「やっぱり、これだけなんだ……」と、言葉を失いました
ある程度、年金の受取額はわかっていたものの、その事実に直面すると虚しいものを感じたといいます。
――最後に勤めた会社では部長となり、それなりに高収入を得るようになっていました。その感覚でいたからこそ、なおさらです
小川さんのサラリーマン人生は決して順風満帆ではなく、ずっと低迷していたといいます。ただ40代後半で転職して以降は風向きが変わり、最終的には大手企業の部長を務めるまでに。
しかし会社員時代の全期間の給与額によって変わる年金受給額。小川さんの給与は定年退職前は月収80万円を超えていたものの、その前の給与は低く、65歳から受け取る年金額は厚生年金は月8.2万円、基礎年金と合わせて月15万円ほど。定年間際の収入と比べると、年金額はあまりにも少なく感じたようです。
もし退職せずに65歳まで働き続けた場合、厚生年金は月9.5万円ほどに。わずか月1.3万円ほどの差ですが、これが老後の生活においては大きいようです。
――今思えば、もう少し慎重になって退職を考えたらよかったですね。月1万円程度の差とはいうものの、その差はやっぱり大きいですよ。無収入になったこの5年で学んだことです
定年で仕事を辞めたら、65歳から受け取る年金額は月15万円ほどであることは、毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」をチェックしていたので知っていました。このとき「年金、これだけなんだ……」と感じたことも、再雇用を選択した一因でした。しかし「仕事を続けることの惨めさ」が、「将来年金の受取額が増えるという期待感」を上回ってしまったわけです。
小川さんのように、定年前に「将来の年金額が少ない」と感じたなら、「定年後も働く」というのがひとつの対処法。定年後も厚生年金に加入できれば、その分、年金額を増やすことができます。
また年金の受給開始を遅らせることで、将来受け取る年金額を増やすことができる「年金の繰下げ受給」も、年金の受取額を増やすひとつの手。ただし「税金や保険料が上がる」「加給年金が受け取れない可能性がある」「受給総額が減少する可能性がある」などのデメリットも。
これらの選択肢を検討する際には、自身の状況やライフプランに合わせて、慎重に判断することが重要です。
［参考資料］
