都心にそびえたつ高層マンション、いわゆるタワマン。そこには「時間を金で買う」という、ビジネスマンも多く住んでいます。羨望のキャリアに、華やかな日常……そんな生活に終止符を打つ人も。
家賃28万円「東京都心のタワマン」に住む月収65万円・自称「社畜」の新米課長(35歳)。「もう限界…」と、わずか半年でタワマン生活にピリオドを打った理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

高い家賃を払ってまで「タワマン」に住む意味は?

異例中の異例といえる、30代での課長昇進。周囲の妬み嫉み僻みが痛いほど伝わってきました。そのような状況に孤立を感じるようになった橋本さん。ひとり、追い込まれていくなか、仕事にやりがいを感じることが難しくなっていったといいます。

 

株式会社タバネルが35~59歳の課長クラスを対象に行った『課長のやりがい実態調査』によると、53%の課長が「仕事にやりがいを感じていない」と回答。また仕事のやりがいに影響を与えるとされている「仕事の資源*1」、「個人の資源*2」、「仕事の要求度*3」について分析したところ、仕事の要求や負担が大きくても、上司や他部署に相談できる環境がやりがいを高めることがわかりました。

 

*1:仕事をする上で活用できる資源のことで、裁量権、上司のフィードバック、周囲の支援など

*2:「心理的資本(前向きに行動を起こすことにつながるポジティブな心理的状態)」であり、自己効力感、希望、レジリエンス、楽観性で構成される

*3:仕事に関する様々な要求、負担、プレッシャーのこと

 

やりがいが低下していくと、なぜ28万円もの高い家賃を払って、東京都心のタワマンに引っ越してきたのか……自分の行動がバカらしくなってきたといいます。

 

――毎朝、窓からの眺望を前に飲むコーヒーに、何の価値があるのか……虚しく感じるようになったのです

 

住んでいるタワーマンションには、フィットネスジムやライブラリーなどの豪華な設備があります。しかし多忙を極めていたため、興味本位で覗いただけで一度も利用したことがありません。ますます「高い家賃を払ってまで住む意味」を見いだせなくなっていたのです。

 

「もう限界だ……」。そう悩んでいるときにスカウトを受けた会社があり、転職を決意した橋本さん。退職を強く引き止められたものの意志は固く、退職とともにタワマンからも引っ越すことにしたといいます。

 

――結局、華やかなタワマン生活は社畜の私には身分不相応だったんです。働かなくてもいいくらいの立場になったら、もう一度、都心のタワマンに引っ越すのもいいかもしれませんね

 

[参考資料]

株式会社タバネル『課長のやりがい実態調査』