
年金の繰下げ受給をなんて選ばなければよかった…71歳男性の場合
森さんは、毎月の年金受取額が増えて「年金の繰下げ受給」を選択してよかったという派。一方で、「年金の繰下げをして後悔しているのが、佐藤和夫さん(仮名・71歳)。65歳から受け取れる年金は月17.5万円。仕事を完全に辞めるタイミングで年金の受け取りを始めようと決め70歳になった佐藤さんは、年金の受け取りを開始。年金は42%アップの24.8万円だといいます。
――手取りにすると月20万円強でしょうか。年金だけで余裕のある生活ができる金額だと思います
働いているうちは年金がなくても暮らしていける。年金が増えたほうが、仕事を辞めた以降の生活を充実させることができる……という思いは前出の森さんと同じ。それでも年金の繰下げを選択せずに、もっと早く年金を受け取っておけばよかったという後悔がつきまとうのはなぜ?
原因は佐藤さんが抱える病気。週に3回、透析治療を受けないといけなくなったのです。1ヵ月の治療費は約40万円と高額ですが、特定疾病療養受療制度の利用により、自己負担額は月1万円程度。年金が増額となったなかでは、それほど影響はありません。しかし「年金が増えたところで意味がなかった」と森さん。
――週に3日、5時間ほど拘束されます。妻と「仕事を辞めたら、ゆっくりしよう。色々なところを旅しよう」といっていたのに、こんな体では難しい。仕事なんてさっさと辞めて、年金ももらっておけばよかった
思い描いていたセカンドライフが崩壊。怒りの矛先が年金の繰下げ受給に向けられていました。
同じ理由で繰下げ受給を選択し年金が増えたとしても、森さんのように「今を重視する」か、佐藤さんのように「これから先を重視する」かで、捉え方は異なります。自身は年金をどのように捉えるか、それによって最適な年金の受け取り方は変わるようです。
[参考資料]