日本の企業の6割強が60歳を定年とし、定年を迎えた9割弱が再雇用を希望するなか、定年を機に新天地を目指すサラリーマンも少なくなりません。ただ「これまでのキャリアと実績を生かしたい!」と意気込むものの、空回りすることも珍しくないようです。
何かの間違いだろ…「月収40万円、しかもボーナスは別途支給」好条件に飛びついた〈退職金2,400万円〉60歳定年サラリーマンの大誤算。転職わずか3ヵ月で退社のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

そんな条件で再雇用はないだろ…60歳定年サラリーマン、転職を決意

大学を卒業以来、40年弱勤めていた会社を定年退職した小林浩一さん(仮名・60歳)。会社を去るとともに手にした退職金は2,400万円と、勤めていた会社では平均的な額だったといいます。

 

同じように定年を迎える同僚の多くは、再雇用によりそのまま働き続けますが、小林さんは退職の道を選びました。2,000万円を超える退職金に、老後も安泰の預貯金。もう汗をかいて働く必要は一切なし……というわけではありませんでした。再雇用による待遇を受け入れることができなかったというのです。

 

――再雇用後は正社員から契約社員となり、役職からも外れる。給与が半減、またはそれ以上になっても仕方がないと考えていました

 

実際に提示されたのは、月収は6割減の25万円。一方で仕事内容はマネジメント業務は行わないだけで、現役時代と変わりません。「これまで築いてきたキャリアと実績を生かせる」といえば確かにそうですが、今どきの大卒初任給と変わらない給与とはとても納得がいかない。「もっと自分の能力を買ってくれる会社があるはず!」と、退職を決めたのです。

 

再雇用を断ったものの、定年を迎えるまではわずか4ヵ月。仕事をしながらの転職活動は難しく、結局、再就職先が見つからないまま定年を迎えることになります。

 

――定年後、ゆっくりと活動したらいい

 

そう考えていましたが、厳しい現実を目の当たりにします。小林さん自身のキャリアと実績に合致した求人をみつけては応募するも、なかなか書類審査が通りません。「小林さんが望む仕事の倍率は軒並み50~100倍だといい、もう少し幅を広げて探してみては」とコンサルタントからもアドバイスをもらいました。しかし、これまでのキャリアを生かせないのであれば、転職する意味がない……あくまでも仕事内容にこだわり転職活動を継続することを決めます。