FPが指摘した「不動産投資の失敗」とは?
まずFPが指摘したのはTさんの物件選びのミスでした。
- 新築の区分マンションは減価償却費が多く取れず、節税効果が低い
- 区分マンション1室だけの経営では、空室リスクや事故リスクが高い
- 物件で凄惨な事件があれば、「貸せない・売れない」の大損失になる
- そもそも物件を高く買わされているため、売却時のキャピタルゲインは期待できない
- 赤字が常態化していると銀行は次の物件に融資をしない
「早めに損切りしたほうが、損失が少ないかもしれませんね」とFPが冷静にいいます。「そもそもですが、利益を出すことを考えていないご商売での節税対策は、虚業といえます」
赤字を出して節税するというのは、サラリーマンに響きやすいスキームかもしれません。年収という決まった枠のなかでやりくりをして生活する発想が強いので、裏技的なスキームを使ってでも手取りを残したいという考えになるのでしょう。
一部の業者が考えた裏技的な節税対策は、やがて国の制度改正により塞がれてしまうことがよくあります。業者と国のいたちごっこには巻き込まれず、しっかり利益を出して納税しながら所得を増やすご商売をするほうが安全で確実のはずです。
「Tさんの目的は手取りの所得を上げたいということですから、するべきことは赤字を使って節税するのではなく、黒字を出し規模を拡大して結果的に所得を増やすという手段ではないでしょうか」
「そちらが正々堂々ですね」とTさんが納得します。
節税とリスク対策を考えたら木造アパート投資が最適
節税のことだけを考えたら、鉄筋コンクリート造の区分マンションではなく、木造の一棟アパートのほうが減税額は高くなります。リスク対策を考えてみても、一室だけの物件よりも複数の部屋を持つ一棟アパートのほうが、空室リスクや事件による物件価値毀損リスクなどが軽減されます。一棟アパートは土地という現物を所有することにもなるため、最低限の資産価値が確保できることもメリットです。
毎年の利益をしっかり出すと、まったく節税にはなりませんが、確実に利益を積み上げ、税引き後の貯蓄は増えていきます。減価償却費よりも元金返済のほうが大きくなるデッドクロス時期の直前で物件を売却することになります。利益を出し続けていれば、売却益で一発逆転を目指さなければならないような不健全な状態を避けることができるでしょう。メンテナンスが行き届き、入居率も高水準であれば、しっかりした価格での売却も可能になります。
また、利益を出し続けることで銀行が二棟目の融資をしてくれる可能性があり、規模を拡大できれば法人化できる可能性も出てきます。法人化できれば真っ当な節税対策がたくさん用意されています。結果的に節税するよりも手取り所得が増えるし、生涯の所得額も桁違いに増えます。
節税スキームがほとんどないサラリーマンは節税対策と聞くとつい興味をもってしまいますが、優先すべきなのは収入自体の増大です。不動産投資は最初の物件からしっかり利益を出すことを意識しましょう。