(※写真はイメージです/PIXTA)
緑色の封筒に入っていたのは「年金生活者支援給付金」の申請書だったが…
話は再び、冒頭の伊藤さん。窮状の訴えは続きます。
――この前、日本年金機構から封筒が届いたの
そう差し出したのは「緑色の封筒」。中身はもうありませんが、そこに入っていたのは「年金生活者支援給付金」の申請書。これは「①65歳以上の老齢基礎年金の受給者」「②同一世帯の全員が市町村民税非課税」「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万9,300円以下、または887,700円以下」のいずれも満たしていると、年金に上乗せして給付されるもの。給付額は月額5,310円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。伊藤さんも年金に5,310円が上乗せされ、月7万3,310円(令和6年度)を受け取っています。しかし……
――月5,000円増えたところで、スズメの涙……貯金も底をつきそうだし、どうやって暮らしていけばいいのか
来月4月には年金額も改定。国民年金は満額受給で1,308円アップの月6万9,308円と、1.9%アップ。標準な高齢者夫婦の場合、月23万2,784円と、4,412円の増額となります。この引き上げは、去年の物価上昇率が2.7%、過去3年間の名目賃金の上昇率が2.3%になったことを受けたもの。しかし、将来の年金の給付水準を確保するためのマクロ経済スライドにより、引き上げ率は賃金の伸びよりも0.4%低く抑えられ、実質年金減額となりました。
――増えたといっても見かけだけ、ということなんですね
肩を落とす伊藤さん。物価高によって困窮する高齢者。それに伴い、2024年、1年間の生活保護申請は25万5,897件と、前年比0.3%増。過去12年間で過去最高を記録しました。生活保護の申請件数は、2013年以降6年連続で減少したものの、コロナ禍を機に5年連続で増加しています。さらに昨年12月時点の生活保護世帯は165万2,199世帯。そのうち高齢者世帯は84万0,415世帯と半数以上を占めます。
――もう生活保護に頼るしか、ないのでしょうか
八方塞がりの状況、打開策は見当たりません。
[参考資料]