遠く離れてひとり暮らしをしている親。帰省のたびに、背中がどんどん小さくなっていく。ただ子が心配を口にすると「年寄扱いするな!」と怒鳴られる……親子関係のあるあるです。そんななか「やっぱり高齢者のひとり暮らしは危険」と思い知らさせることが頻発。高齢の親への心配はさらに高まるばかりです。
年金月20万円・元教師の父が祝70歳!古希を祝うために帰省した41歳長男、「貯金3,200万円」の使い道に衝撃「目を覚ませ、親父!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

古希を祝うホームパーティ。その夜、お酒で饒舌になった父が語ったのは…

親の心子知らずとはいうものの逆もしかり。だからこそ歯がゆい気持ちになるものです。

 

そんな親子関係ですが、帰省を機に変化が生じたといいます。それは父親の古希を祝おうと、子どもたちが揃って帰省をしたときのこと。

 

親子4人と、その家族が集まってのホームパーティ。久々に笑顔満開の父親をみて哲也さんは安堵したといいます。そして夜遅くには、親子だけでお酒を飲みながら昔話に花を咲かせる……本当によい時間を過ごしていました。そんなときに、父親が爆弾発言。

 

――もしかしたら、再婚するかもしれない

 

息子たちはみな仰天。母が亡くなり、父はひとり身。当然、再婚したって何も問題ないし、むしろ高齢のひとり暮らしを心配していたこともあり歓迎ではある。ただ母親にべったりだった父親がほかの人を好きになるとは、にわかに信じられない……。

 

お酒が入っているからか、父親はいつにもまして饒舌です。そして「こんなやり取りをしているんだ」とスマホを息子たちに渡します。まさか、70歳の父親がのろけ話をしてくるとは……さらに混乱する息子たちですが、恋人だという女性とのラインのやり取りをみて、思わず「えっ⁉」とこぼす哲也さん。ラインのなかに、何回か「お金を送ってほしい」とのメッセージ、そしてその申し出に快く了承するやり取りを発見したのです。

 

――親父、この人と直接会っているの?

 

そう聞くと、女性は東南アジアに住んでいて、今度、帰国する予定。だから直接顔を合わせたことはないが、テレビ電話で何度か話をしているから、お互い顔は知っている、といいます。「いや、これは詐欺だろう……」と息子たちは誰もが思ったといいます。

 

――外国でビジネスをしているやり手の女性なんだ。今度、店を出すらしいから、俺も出資しようと思って。今、貯金が3,200万円あるから、半分くらいはな

 

詐欺と確信した哲也さん。「目を覚ませ、親父!」と、ついつい大きな声で怒鳴ってしまったといいます。このあと、どのような点が詐欺なのか、根気よく説明をしていったという哲也さん。父親は最初、「詐欺なんて、あるわけない」と鼻で笑っていましたが、段々と疑念を高めていったのか、1時間後くらいには「俺は、騙されたのか……」と意気消沈しだしたといいます。

 

警察庁の発表によるよると、2024年のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は暫定値では1万0,164件で、前年から64.3%増、被害額は1,268.0億円と78.6%と増。いずれも著しく増加しています。

 

当初の接触ツールは、男性被害者の場合、「マッチングアプリ」が35.1%と最も多く、「フェイスブック」22.7%、「インスタグラム」16.8%と続き、被害時の連絡ツールとしては「LINE」が94.1%と圧倒的。だんだんと親密になり、LINEで頻繁に連絡を取り合うようになる……高齢者の孤独につけ込んでいく、そんな過程を想像できるでしょう。

 

女性にすでに送金していた30万円は戻ってこないだろう。でも傷口がこの程度で済んでよかったと哲也さん。さらにひとり暮らしに不安を強めた父親。さすがに東京に出てくるのは環境が変わりすぎるので、地元の老人ホームに入ることを検討中だといいます。

 

【参考資料】

セコム株式会社『離れて暮らす親に関する意識調査』

警察庁『令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について( 暫定値版)』