
48歳サラリーマン、仕事と要介護3の父親の介護と両立させる日々
都内金属メーカーで働く宮崎健一さん(仮名・48歳)。仕事と同居している父・修一さん(仮名・81歳)の介護を両立させる毎日。
――父親は要介護3。実は妻は働いているうえ、義母も要介護で……とても頼ることができない状況です。
厚生労働省が2020年に発表した資料によると、40代、50代のサラリーマンが父親が介護等を必要とする人は全体の10.1%。10人に1人は、親が介護状態にあります。
【40~50代のサラリーマン、親の手助け・介護の要否】
父親の手助け・介護…10.1%
母親の手助け・介護…8.5%
配偶者の父親の手助け・介護…10.4%
配偶者の母親の手助け・介護…9.9%
出所:厚生労働省『令和元年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業』
そもそも修一さんが要介護になったのは、脳梗塞。一命は取り留めたものの、右半身に麻痺が残りました。食事や着替えだけでなく、排泄、歯磨きなどの日常動作で介助を必要とする状態です。理解力や思考力の低下がみられることもありますが、その点、修一さんはずいぶんとクリア。だからこそ「苦しめられることがある」と健一さんはいいます。
それは義母も要介護となり、妻の助けを得られなくなったときのこと。在宅での介護を続けるのが難しいと思い、施設への入所をお願いしようと考えたといいます。修一さんの年金は月18万円ほど。実家を処分した際のお金など考えると、手厚い看護が自慢の老人ホームに入居できそうでした。
――お父さん、老人ホームのほうが安心できると思う。入居を考えてみない?
健一さんが提案すると、修一さんはみるみるうちに顔を赤らめ、声を荒げたといいます。
――親を見捨てるつもりか! 私はこの家で生涯を終えるんだ!
元・教師の修一さん。あまり融通が利かず、頑固一徹な部分があり、一度言い出したことを曲げることがないことは健一さんがよく知っていました。仕事と介護を両立させる日々がスタートします。