大学受験シーズンも本番。これまでの努力がしっかりと叶うことを願うばかりですが、複雑な心境を抱えている受験生の親も。みていきましょう。
悔やんでます…〈月収45万円〉58歳サラリーマン、長男・第一志望合格で歓喜も「親子で500万円の借金」、老後崩壊の現実を前に「夜もぐっすり寝られません」

長男大学進学で「教育ローン250万円・奨学金250万円」

利用したのは国の教育ローン。独立行政法人日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫が取り扱う教育資金の貸付制度で、借入の主体は子どもの親。子どもの人数に応じて世帯収入の制限があります。たとえば子どもがひとりの場合は、世帯年収790万円です。借入限度額は子ども1人当たり350万円以内(自宅外通学など一定の要件に該当する場合は450万円以内)。金利は固定金利で年2.65%(令和7年1月6日現在)です。

 

奨学金は独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のような団体等が学費を支援する制度で、返済不要な給付型と、卒業後に返済する貸与型があります。JASSOの奨学金は国の教育ローンとの併用も可能。借入の主体は子ども本人となり、学力と家計の基準があります。借入限度額は月額12万円まで。JASSOの第一種奨学金は無利子、第二種奨学金は有利子です。

 

原田さんは教育ローンで250万円を借り入れ、10年で返済する計画です。月々の返済額は2万4,000円ほど。奨学金は無利子で、給付額は月5万円、4年で250万円ほど。大学進学にあたり、親子で500万円の借金をしたことになります。

 

【学費のために奨学金・ローンでお金を借りた経験者に聞いた】

Q.返済について負担を感じている?

非常に感じている…30% 負担を感じている…39%

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▼返済そのものを負担に感じている声

・銀行のローンは最初利息のみの返済だが卒業後元本の返済が始まり大変になった。(神奈川県、62歳男性、会社員、借入額:300万~400万円未満、世帯年収:1,200万〜1,500万未満)

▼物価高・税金が影響して負担を感じるという声

・将来の不安 世帯収入減及び物価上昇により老後資金が溜まらない(兵庫県、64歳男性、会社員、借入額:50万~100万円未満、世帯年収:800万〜900万未満)

▼精神的な負担

一定期間、返済を繰り返していくというのは、気分的に、負担が大きい。生活費がその分、目減りしていくので、楽しさが半減します。 (兵庫県、65歳男性、会社員、借入額:100万~200万円未満、世帯年収:500万〜600万未満)

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※出所:セレクトラ・ジャパン株式会社

 

長男の教育費に加えて、大学進学を控えるのはもうひとり、次男がいます。順調にいけば2年後。原田さん自身は定年を迎え、給与は大きく減ることが目に見えています。だからといって次男は自力で……そんなことが叶うわけがありません。

 

――もっと早く準備をしておくべきでした……悔やむ気持ちでいっぱいですが、毎日の生活で精いっぱいな状況。頑張っても無理だった、そんな気もします

 

長男と次男、2人とも希望通りの進路を叶えるためには、自分たちの老後を犠牲にするしか方法はない…絶望的な老後前に「最近、将来が不安で夜もなかなか寝付けない」と原田さん。自虐で笑うしかないといいます。

 

[参考資料]

文部科学省「令和3年度子供の学習費用調査」

文部科学省「令和3年度、私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」

e-Gov『平成十六年文部科学省第十六号 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』

セレクトラ・ジャパン株式会社『スマートマネーライフ カードローン部門による調査』