(※写真はイメージです/PIXTA)

耐震基準とは、建築基準法によって定められている耐震性能の基準であり、旧耐震基準・新耐震基準・2000年基準(木造住宅のみ)の3種類があります。本コラムでは、耐震基準の概要や、基準ごとの違い、どの基準に準拠しているか確認する方法を解説します。耐震基準により住宅ローンや税金の控除額が変わるなど、不動産投資においても重要なポイントとなるため、しっかりと基本的な知識を確認しましょう。

旧耐震基準・新耐震基準での被害の違い

過去に起きた大地震により、旧耐震基準と新耐震基準それぞれの被害状況について、詳細な調査結果も明らかになっています。

 

2016年に発生した熊本地震では、震度6強または震度7が2回計測された益城町中心部における木造住宅の倒壊率につき、次のような調査結果があります。

 

 

このように、旧耐震基準と新耐震基準、2000年基準では、倒壊率に顕著な違いがあります。また、同調査では、後ほど詳しく紹介する耐震等級のうち、耐震等級3を備える住宅は「大きな損傷は見られず、大部分が無被害であった」としています。

 

旧耐震基準か新耐震基準かを見分ける方法

新耐震基準が施行されたのは、1981年(昭和56年)6月1日です。そのため、1981年5月31日までの基準は「旧耐震基準」、同年6月1日以降は「新耐震基準」となります。

 

これは、「建物が完成した日」で判断するわけではなく、「建築確認が完了した日」(建築確認年月日)で判断します。

 

建築確認が完了した日とは、建物を建築する前に役所へ建築確認申請を提出します。建物の名称や用途、構造、面積など必要な情報を図面とともに提出し、役所が受理すると「建築通知書」が発行されますが、その証明書の発行日が「建築確認が完了した日」になります。

 

建築確認日の違いにより、以下のように判断されます。

 


建築確認年月日は、「建築確認通知書」で確かめることができます。もし紛失している場合には、自治体で発行される「台帳記載事項証明書」から確認することも可能です。

 

不動産情報サイトの物件情報ページには建築確認年月日が記載されていないことが多いものの、代わりに、どの耐震基準に準拠しているかを明記していることが一般的です。いずれの情報も記載されていない場合には、不動産仲介会社に問い合わせましょう。

 

または、その物件を管轄している自治体に問い合わせ、建築計画概要書を取得することで確認することもできます。

 

ただしこの場合、平成11年5月1日の建築基準法改正後の建築概要書は基本的にどの物件でも取得可能であるものの、改正前は役所での保存年限が5年保存となっていたことから、役所や物件によっては記録が残っていない場合もあるので注意が必要です。

次ページ耐震基準と耐震等級の違いとは?