木造住宅には”2000年基準”も存在する
ここまでは旧耐震基準と新耐震基準の違いなどを解説してきましたが、木造住宅に関しては、2000年の法改正により制定された「2000年基準」があります。これは阪神淡路大震災を受けて制定されたものであり、新耐震基準からさらに規制が強化された「現行の耐震基準」とも呼ばれます。
例えば、一次設計では、中程度の地震で柱や梁など主要構造部に使われる材料の「許容応力度」を超えないように計算する必要があります。さらに二次設計では、大地震に対して倒壊・崩落しないよう、建物の構造種別や規模別に3つのルートに分けて計算するなど、細かな構造計算が求められるようになりました。
2000年基準により追加された耐震構造は、主に次の通りです。
・耐力壁の配置バランスが定められた
・接合金物に関する規定が置かれた
・床の剛性に関する規定が置かれた
・地盤調査の結果に応じた基礎構造とすることが定められた
耐力壁の配置バランスが定められた
新耐震基準では、建物に横からかかる力に対抗するための壁である耐力壁の強化がされ、床面積あたりに必要な壁量や壁の長さが規定されましたが、バランスの規定まではされていませんでした。しかし、2000年基準では家の平面を4分割したうえで耐力壁をバランスよく設置する「四分割法によるバランス規定」が定められました。
接合金具に関する規定が置かれた
阪神淡路大震災の縦揺れにより、柱の突起部分であるホゾが土台の穴から飛び抜けてしまう「ホゾ抜け」が発生しました。その影響により、柱や梁、壁など構造上主要な部分のつなぎ目に使用する接合金具について厳格化されました。
床の剛性に関する規定が置かれた
新耐震基準までは壁を強くすることが重視されていましたが、2000年基準では床の剛性(硬さ)も求められるようになりました。壁だけを強くしても壁を支える床に強度がないと、床の変形によって壁が倒れてしまうため、床の剛性が重要な要素と考えられました。
地盤調査の結果に応じた基礎構造とすることが定められた
耐震性には地盤の強さが大きく関係します。地盤が弱ければ、地震の揺れに対抗できず建物が倒壊します。そのため、地盤にどの程度の力があるのか地盤調査で測定したうえで、基礎構造を行うことが義務付けされました。
いずれも木造住宅について新耐震基準をさらに厳しくした内容となっており、現在新築で木造住宅を建築する場合には、こちらの基準に従うこととなっています。
