旧耐震基準と新耐震基準の違いとは?
旧耐震基準と新耐震基準とでは、地震の強度に応じて、建物がどの程度耐えられるかの基準が異なります。

このように、旧耐震基準では震度6程度の地震は想定されていなかったのに対し、新耐震基準では、震度6でも「倒壊・崩壊しない」ことが求められています。
2024年だけでも、震度7・震度6・震度5などの強い地震が複数回にわたって発生しており、旧基準で倒壊するおそれがある規模の地震も頻発しています。
そのため人命保護の観点からは、早急に新耐震基準に基づく住宅に建て替える、または補強工事を行うことが望ましく、国や自治体も耐震診断・耐震改修に対する助成を行っています。
なお、耐震基準は「複数回の被災」を視野に入れていません。一度被災すると、建物の柱や基礎部分に損傷が生じ、建築時の耐震基準を満たさなくなっている場合もあります。
新耐震基準のみ税制優遇がある
国や自治体による新耐震基準の推進活動の一環として、税制面での優遇があります。

新耐震基準を満たしている物件については、住宅ローンの控除を受けられるうえ、登録免許税や不動産取得税、固定資産税の減税も受けられます。
本来、住宅ローンの控除を受けるためには次のような条件を満たさなければならず、基準以上の築年数が経過している建物であれば、控除は受けられません。

しかし新耐震基準を満たしており、そのことを証明する耐震基準適合証明書(指定性能評価機関や建築士事務所で受けられる)があれば、上記の築年数を経過していても住宅ローンの控除を受けることが可能です。なお、2022年の税制改革により、1982年1月以降に新耐震基準で建築された建物に関しては、耐震基準適合証明書がなくても控除を受けられるようになりました。
旧耐震基準の物件に関しては、原則として控除の適用はありません。ただし、耐震補強工事などで新耐震基準並みの耐震性があり、かつ耐震基準適合証明を受けている場合には、住宅ローン控除の適応対象となります。
住宅ローン控除の恩恵は大きく、新耐震基準を満たす物件はローン残高の0.7%、新築物件なら一般住宅で21万円、長期優良住宅なら最大35万円が13年間(中古物件の場合は10年間)にわたって控除されます。
また、現在では多くの金融機関が「新耐震基準を満たすこと」を住宅ローンの融資条件として定めているため、新耐震基準を満たしている物件でなければそもそもローンの借り入れ自体が難しい、ということもあります。
