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三為契約とは、「第三者のためにする契約」の略語で、主にワンルームマンションの売買などで利用される契約形態です。本コラムでは、三為契約の概要や、メリット・デメリット、三為業者の見分け方を詳しく紹介します。三為契約は合法的な手続きではありますが、注意すべきポイントも多いため、しっかりと基本的な知識を確認しましょう。

三為契約の注意点

三為契約は不動産業者にとってメリットの大きい取引である一方で、売主・買主にとってはリスクもあるため、十分に注意が必要です。以下からは、三為契約を用いる際の注意点を3つ解説します。

 

・適正な価格で取引できるとは限らない

・不動産投資ローンなどを受けられないことがある

・本人確認を徹底する

 

適正な価格で取引できるとは限らない

三為業者は、売主からの仕入れ価格と、買主への販売価格との差額で利益を得ています。そのため、「安く買い、高く売る」ことでより利益が大きくなります。

 

すなわち、売主は物件を安く買われてしまう可能性があり、買主は適正価格よりも高額で購入してしまうリスクがあります。売主は三為業者の販売価格を、買主は三為業者の仕入れ価格を把握できないため、適正価格の把握が困難となります。

 

このことから、三為契約で不動産を売買する場合には、売主・買主のいずれも、不動産情報サイトなどを見るなどして相場観を養い、適正な取引価格をしっかりと把握しておく必要があります。

 

不動産投資ローンなどを受けられないことがある

三為契約は民法・宅建業法の例外ルールを用いた取引であり、客観的にみて取引の流れ・適正価格の把握が難しいという特徴があります。このことから、三為取引では金融機関から不動産投資ローンなどを受けられないこともあります。

 

特に、女性専用シェアハウスをめぐる投資詐欺事件、「かぼちゃの馬車事件」で三為契約が悪用されたことから、金融機関における三為契約のイメージが悪くなり、一層審査が厳しくなりました。

 

取引相手の素性を見極めるのが難しい

三為契約では、売主と買主はそれぞれ三為業者とのみ連絡を行い、互いに顔を合わせる機会がありません。そのため、取引相手に疑義があるかどうか、見極めが難しいというデメリットがあります。

 

例えば売主または買主が制限行為能力者(認知症で判断能力が低下している場合や、未成年である場合)であるとき、売買が成立した後であっても、取引自体が無効・取り消しとなる可能性があります。

 

そのため三為契約を用いる場合には、弁護士・司法書士に十分な本人確認を行ってもらうなど、慎重な手続きが必要です。

 

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