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三為契約とは、「第三者のためにする契約」の略語で、主にワンルームマンションの売買などで利用される契約形態です。本コラムでは、三為契約の概要や、メリット・デメリット、三為業者の見分け方を詳しく紹介します。三為契約は合法的な手続きではありますが、注意すべきポイントも多いため、しっかりと基本的な知識を確認しましょう。

三為契約を利用する不動産業者のメリット

(画像:PIXTA)
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三為契約の理解を深めるためには、なぜ不動産仲介ではなく三為契約が用いられるのか、不動産業者側の視点に立って考えることが重要です。以下からは、三為契約を利用する不動産業者のメリットを4点紹介します。

 

・利益の上限がなく大きく儲けられる

・仕入れコストを下げられる

・在庫の保有リスクがない

・売買にかかる諸費用を抑えられる

 

利益の上限がなく大きく儲けられる

不動産業者としては、一般的な不動産仲介を行う場合と比べて、三為取引によって仲介取引よりも大きな利益を得やすくなります。仲介取引では宅地建物取引業法によって厳格に手数料の上限が定められているのに対して、利益の上限がない三為契約は不動産業者にとって非常に魅力的です。

 

例えば、3,000万円の不動産を取引する場合における、不動産仲介と三為取引それぞれの場合の利益を計算すると次のようになります。

 

仕入れコストを下げられる

通常、不動産業者が売主から不動産を仕入れて買主に販売する場合(自社物件)、不動産業者は仕入れ資金として売主に代金の全額を支払わなければなりません。

 

しかし三為契約の場合、三為業者は売主に手付金だけを支払い、残額の支払いは買主からの入金を待って支払うことができるため、業者で準備すべき金額が少なくて済みます。

 

そのため三為契約であれば、自社の資金力を超える高額な不動産を取り扱うことができるという点でメリットとなります。

 

在庫の保有リスクがない

不動産業者は在庫の売れ残りが起きると、特に仕入資金を金融機関からの借入で賄っている場合に会社全体のキャッシュフローが悪化する要因となります。

 

しかし、三為契約では、不動産の所有権は売主から買主に直接移転するため、三為業者自身が不動産を保有することはありません。そのため業者としては、在庫保有リスクを抱えることがないのです。

 

三為取引はいわば不動産の無在庫転売といえるでしょう。

 

売買にかかる諸費用を抑えられる

通常、不動産業者が売主から不動産を仕入れて買主に販売する場合、売主から不動産業者・不動産業者から買主へと、2段階の所有権移転登記が必要となります。そのため、2段階分の登記費用が発生します。

 

しかし三為契約では新・中間省略登記により1回の登記で済むため、登記費用を抑えられます。

 

また、三為契約では不動産業者が対象物件を保有しないため、仕入れにかかる借入金利や、固定資産税・譲渡所得税・住民税などの税負担といった諸費用も生じません。

 

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