三為契約と不動産仲介の違い
三為取引では、不動産の売主と買主との間に第三者が介入するという意味で、通常の不動産仲介業務と変わらないようにも思えます。しかし実際には法的な意義が大きく異なるため、しっかりと違いを理解することが重要です。
三為取引と不動産仲介との間には、①契約形態の違いと、②利益の得方の2点に大きな違いがあります。

以下からは、それぞれの内容を詳しく解説します。
契約形態の違い・瑕疵担保責任の違い
三為契約では、三為業者は売買契約の当事者となり、売主および買主の双方と売買契約を結びます。
これに対し不動産仲介では、売買契約の当事者はあくまで売主と買主であって、不動産仲介業者は「媒介契約」という形で売主または買主、もしくはその双方と仲介契約を結びます。
このことは、目的物に瑕疵があった場合、誰に対して責任を追及できるかという点で重要となります(瑕疵担保責任といいます)。
例えば建物に不備があり補修が必要となった場合、三為取引では、買主は三為業者に対して補修を請求できます。なぜなら三為取引では、買主との関係では三為業者が「売主」となる以上、三為業者は売主としての責任を負うべきだからです。
これに対し不動産仲介の場合、買主は売主に対して補修を請求することとなり、不動産仲介業者に対して請求することはできません。不動産仲介業者は取引を「仲介」しただけであって、不動産の「売主」ではないからです。
三為契約において三為業者に瑕疵担保責任を追及できるのは「引渡し後2年以内」という縛りがありますが、不動産仲介の場合には売主の瑕疵担保責任が免責されていることがほとんどです。
利益の得方の違い
三為業者は売主からの仕入れ値と、買主への売値との差額で利益を得ます。
一方で不動産仲介において、不動産仲介業者は仲介手数料という形で利益を得ます。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で上限が定められており、これに反する仲介手数料の請求は禁止されています。仲介手数料の上限は下図の通りです。

しかし、三為取引は「仲介業」ではないため、この制限を受けません。一般的に、三為業者が得る差額利益は買主への売値の10%程度といわれています。
