60歳で定年を迎えるケースが多いなか、その後、再雇用で働き続けるか、退職して無職になるかはさておき、多くの人が定年退職金を受け取ることになります。経験したことのない大金を貯金するか、それとも運用するか、選択に迫られますが、できることなら後悔のない方法を選びたいものです。
銀行の言うことを鵜呑みにして…バカだな。〈退職金2,700万円〉の60歳定年サラリーマン〈貯金第一主義〉も一転〈退職金で資産運用〉へと突き動かした「銀行員のひと言」 ※写真はイメージです/PIXTA

心の安定を優先して貯金以外の選択を排除してきたサラリーマン

山本浩之さん(仮名・60歳)。大学卒業以来、勤めていた大手メーカーを60歳で定年退職しました。

 

――もうすぐ90歳になる実家の母の介護もあるので、いったんここで区切りをつけたいなと思いました

 

定年退職と一緒に手にした退職金は2,700万円。勤めていた会社では、退職金の受け取りを一時金、または年金、さらに併用で受け取ることができましたが、山本さんは一時金を選択。

 

――一度、大金がどんと振り込まれるのをみてみたかったんですよね(笑)

 

【勤続年数別・企業規模別「大卒サラリーマン」の平均定年退職金】

■企業規模別平均

従業員1,000人以上企業…平均2,007万円

従業員300~999人企業…平均1,295万円

従業員30~99人企業…平均1,162万円

■勤続年数別・企業規模別

20~24年:892万円/1,468万円/909万円/494万円

25~29年:1,378万円/2,223万円/1,521万円/908万円

30~34年:1,642万円/2,071万円/1,506万円/869万円

35年以上:1,822万円/2,018万円/1,704万円/1,791万円

※数値左より企業規模計/従業員1,000人以上/従業員300~999人/従業員30~99人

※出所:厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

 

振込みを指定していた口座に退職金が振り込まれたときのことを「正直、興奮しました。ゼロの数を何回も数えました(笑)」と無邪気に振り返る山本さん。一方で自ら「貯金第一主義」というほど、ある意味、堅実に生きてきたといいます。

 

――貯金しておくのもリスクだとか、投資して増やしていかないと目減りするとか、いろいろいわれますよね。でも、銀行が潰れたら日本は終わるというところに預けておくのが、私は一番安心できるんです。心の安定が大切じゃないですか?

 

無理なことはせずに、心の安定を第一優先。そんな資産運用をしてきた山本さんに転機が訪れます。そのきっかけは一本の電話。