社会人になり、初めての仕事に胸を躍らせたのも束の間、現実は厳しく、理想とのギャップに苦しむ日々。「自分は一体なんのために働いているんだろう?」誰もが一度は抱えるこの問いに、どう向き合えばいいのでしょうか。本稿では、土谷愛氏の著書『適職はどこにある?』(大和出版)を一部抜粋・再編集し、自分らしい働き方を見つけるヒントを探ります。
「ご唱和ください!」毎朝社訓を叫ぶ超・体育会系企業に“どんくさ新卒女性”が入社…営業成績ビリ。追い詰められて起こした接触事故後、ふと気づいた衝撃事実 (写真はイメージです/PIXTA)

人生どん底で気づいたこと

なんのために働いてるのか

けれど、結果的にこうなってみて初めて、わたしは自分の本音と向き合う「自己分析」を始めることになったのです。

 

夜、仕事から帰ってきて、部屋に転がっていた適当なノートを開き、半ば勢いでこんな問いを書いてみました。

 

Q:そもそもわたしって、なんのために働くんだろう? 

 

そりゃあやっぱ、お金のため。今も毎日怒られてしんどい思いしながら働いてるのは、給料がもらえるから。1つ目の問いの下に書いたのは、ふと頭に浮かんだそんな答え。当時は「仕事って、お金を稼ぐ手段でしょ」としか思っていなかったんです。

 

Q:じゃあ、わたしって具体的にどれくらい稼ぐ必要があるんだっけ?

 

……。自分で書いておきながら、この質問にわたしは絶句してしまいました。なぜなら、「このくらい」という明確な金額が一切浮かばなかったからです。考えてみれば、もともと趣味も物欲もあまりなかったわたしには、「お金を稼いでこれに使うぞ!」的な野望は見当たらなかったのです。
 

 

就職したばかりの当時、まだ実家暮らしで生活費はほとんどかからず、しいていえば大学時代に借りた奨学金450万円の返済が残っている状態。そのうち一人暮らしをすれば生活費は稼がなきゃだけど、逆に言えば、一人で安いアパートにでも暮らせるくらいの金額を稼げたら、わたしはそれでいい。ん?ってことは、わたし真っ先に「お金のため」って思ったけど、とりあえず今稼ぐモチベーションになってるのは450万円だけ? 意外とそんなもんなのか……。

 

ただ世間の常識に染まって「学校を卒業したら働くもの」としか思っていなかったわたしは、自分の中に「自分が働く理由」をまったく持てていなかったわけです。

 

これからのわたしは、「世間の常識から外れないため」じゃなく、「わたしの理想の未来に近づくため」に働くことにしよう。そうして過去、現在、未来と何度も往復し、自分とじっくり向き合って、わたしは初めて「理想の未来」を言語化できたのでした。そこには、今までの「ニセモノの自己分析」では得られなかった納得感がありました。

 

 

土谷 愛

mideal inc.

代表取締役社長