進学や就職、結婚……きっかけはさまざまですが、ライフステージとあるタイミングで、多くの人は家を出ることを経験します。しかし最近は「実家暮らしの独身」が増加。そこにもさまざまな事情がありますが、なかには、知らず知らずに問題を抱えているケースもあるようです。
母の言うことなんて聞かなきゃよかった。月収68万円・実家暮らしの「47歳・勝ち組サラリーマン」、進学先も就職先も超一流、誰もが羨む人生だが…大後悔の理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護でふと気づく…「親の言われるがままに生きてきた」

現在、小林さんは両親との実家暮らし。ここにも母親の意向が反映されています。

 

――母は「あなたは自分ひとりで生活なんてできない。私が面倒をみてあげるから、ずっとここ(実家)にいなさい」と。就職したら家を出るものだと思っていましたが、せっかく母が言ってくれることだからと、実家暮らしを続けています

 

基本的に母親の嫌がることはしたくない……それが小林さんの生き方でした。母親の存在が大きすぎるからか、これまでお付き合いした人もいないといいます。

 

――中学から男子校ですし、大学もまわりは男子ばかりで。就職してからも、部署では男性が圧倒的に多かったですね。今は部下がいて女性と話す機会もありますが……手汗がスゴイです(笑)

 

【20代~40代の男性に聞きました】

Q.あなたは女性との会話に対して苦手意識を感じていますか?

とても苦手…21.9%

やや苦手…37.3%

あまり苦手ではない…28.0%

まったく苦手ではない…12.8%

 

Q.女生徒の会話に苦手意識を感じる理由は?

女性と話す経験が少なく緊張するため…43.3%

自分に自信がないため…43.0%

男女問わず会話自体が苦手なため…42.4%

女性特有の感情や考えを理解するのが難しいと感じるため…34.6%

相手にどう思われているか気にしすぎてしまうため…31.8%

出所:株式会社Bright Management『「女性との会話への苦手意識に関する調査』

 

そんな小林さんですが、最近、80歳になる父親が要介護2の認定を受けました。その介護は78歳の母親が中心となって行っていますが、小林さん自身もいろいろとサポートすることも多く、仕事と介護を両立する日々を送っています。そんなとき、これまでの人生が母親の言われるがままだったことを、いまさらながら痛感したといいます。

 

――母が「あなたがいてくれてよかった」と。これだけであればよかったのですが「結婚していたら、そうはいかないものね」といわれて。ふと「これまでの人生、母にコントロールされ、自分の意志なんてなかったな」と強く感じたんです

 

47歳。世間ではいい大人です。しかし、子どもの親離れも、親の子離れもできていない……そのことに初めて気づかされたといいます。

 

父親の介護はいずれ終わる。そのあと母親の介護。すべて終わったときには、自分が高齢者。年金を受け取りながら、ひとり寂しく生きていく……そんな老後がくっきりとイメージされ、急に怖くなったといいます。

 

小林さん、これまでの人生、羨望の眼差しを送られることが多くありましたが、どこか他人事でした。それは、これまで主体的に生きてきたことがないから、というのが、最近の小林さんの自己分析だといいます。親亡き後の人生を考え、ぼんやりと婚活が頭をよぎる今日このごろ。

 

――今さら婚活といっても遅いでしょうか。それよりも母が許してくれるか……

 

母親の言いなりになってきた人生を大後悔しつつ、それでも母親を意識せざるを得ない小林さん。これから先、親離れ・子離れを実現するのは難しそうです。

 

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

株式会社Bright Management『「女性との会話への苦手意識に関する調査』