(※写真はイメージです/PIXTA)
配偶者との別れが引き金となる「高齢者のうつ」
息子たちからみても「昭和のおやじ」といった父親が、息子たちの前でめそめそと泣く……明らかにおかしいと感じ、佐藤さんを病院に連れて行った結果、うつ病と診断されました。
高齢者のうつ病の有病率は地域や調査によって異なりますが、厚生労働省の調査によると65歳以上の約10%から13.5%が何らかのうつ病を抱えているとされています。また、高齢者のうつは認知症と間違われやすく、適切な診断が遅れることが多いため、実際の有病率はさらに高い可能性があります。
高齢者のうつ病の原因は大きく3つの要因に分けられます。
■環境的要因
定年退職、子どもの独立、配偶者との死別など、生活環境の変化が大きなストレスとなります。特に長年連れ添った配偶者を失うことは深刻な喪失感を引き起こします。
■心理的要因
孤独感や社会的な役割の喪失、身体機能の低下に対する不安がうつ病の発症に寄与します。
■身体的要因
高齢者は多くの身体疾患を抱えていることが多く、これがうつ病のリスクを高める要因となります。
これ以上、ひとり暮らしをさせるわけにはいかない。そう考え、うつ病患者を受け入れてくれる介護付き老人ホームを見つけ、入居させることに。24時間看護師が常駐し、終身利用も可能。ふれあいを重視し、レクリエーションも積極的に展開しています。入居一時金は150万円、月額費用は月18万円。年金月20万円だという佐藤さん、費用的にも長く、安心して父を預けることができると考えたといいます。
長年連れ添った妻を亡くしたことの喪失感、そして孤独感が、うつを発症した要因のひとつだった佐藤さん。老人ホームへの入居でいくぶん孤独感が薄れたのか、回復の方向に進んでいるといいます。
[参考資料]