要件を満たしていても「水際作戦」で「生活保護申請」却下の場合も
生活保護は、日本国憲法第25条に基づき、生活に困窮している国民に対して最低限度の生活を保障する制度です。実際、高齢者が生活保護を受給するための主な条件は以下の通り。
・世帯収入が基準額よりも少ない
・働いて収入を得ることができない
・資産をすべて生活費に充てている
・扶養義務者からの援助が足りない・受けられない
・他の法律・制度を利用しても生活費が足りない
生活保護の基準は地域によって異なりますが、23区・75歳以上のひとり暮らしの場合、最低生活費となる生活扶助基準額は7万1,900円。家賃に相当する住宅扶助基準額と合わせると、12万5,600円。住宅扶助額より実際の家賃のほうが安い場合は、実際の家賃の額が支給されます。高橋さんの場合、申請が通れば、月1万5,000円ほどの生活保護を受け取れる可能性があります。
ただ要件に当てはまっているからといって、全員が生活保護の申請が通るかといえばそうではありません。実際には申請窓口での不適切な対応が問題視されています。たとえば、扶養照会を行う際に、親族からの支援が必要であるかのように説明したり、無料低額宿泊所への入所を条件にしたりするなどの「水際作戦」が発覚しています。厚生労働省は、申請権の侵害にあたる行為を厳に慎むよう通知しており、適切な対応が求められるものの、自治体によって、また担当者によって対応はまちまちのよう。
高橋さんも申請の際に、結構きつくあたられたといいます。
――生活保護!? 難しいですね。この春まで働いていたんでしょ。まずは仕事を見つけましょうよ
――お子さんは? 援助してもらったらどうですか?
――生活保護って税金だから。申請したらもらえると思ったら困るんですよ
最後は「お引き取りください」といわれ、すっかり申請意欲がなくなったといいます。
――どう生きていけというのでしょうか
と絶望するしかない高橋さん。このような状況下では、このような状況下では、「粘り強く申請手続きを進める」「必要に応じて福祉事務所に相談する」「地域の社会福祉協議会や無料法律相談などの支援を利用する」といった対応が推奨されています。
高齢者の生活保護受給は珍しくなく、90万世帯が受給。必要な人が適切な支援を受けられるよう、正しい情報提供と公平な対応が求められます。
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