経済的な状況が厳しかったり、単に手続きを忘れてしまったりなど、さまざまな理由で支払いが遅れてしまうことは誰にでも起こりえます。しかし、そのままにしておくと、後で大きな問題に発展する可能性があることをご存じでしょうか。本記事では、谷本さん(仮名)の事例とともに、年金の未納について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
ごめん父さん。俺のせいだ…年金月16万円、何の落ち度もない82歳父が容赦なく突然〈財産差し押さえ〉→原因は、54歳息子が無視した日本年金機構からの“赤い封筒の中身”【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金制度崩壊論

また日本の年金制度は、年金給付水準は減少する可能性もありますが、「年金を受け取れなくなる」「年金額が大きく減ってしまう」というような、誤った情報を鵜呑みにせず、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用状況などを確認して、正しい情報を得ることも大切です。

 

先述した年金給付水準の減少とは、現在、マクロ経済スライドという今後の年金加入者や長寿化を加味した調整が行われているために、物価上昇や現役世代の給与の増加よりも年金受給額の上昇率が低くなることで、金額は増えても、実質の給付額は目減りします。そのため、公的な年金をベースに自助努力で不足分を準備していくことも重要でしょう。

 

さらに、ファイナンシャルプランナー(FP)などのお金の専門家に相談することで、世帯全体の資金計画を最適化し、将来のトラブルを回避することが可能です。日本年金機構から届く通知を無視せず、早期に行動することが、大きなトラブルになることを回避する大切なことになります。
 

〈参考〉

厚生労働省「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/dl/k_r05.pdf

 

日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/kyoseichoshu.html

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表