Tさんの心が折れた“予想外”の悲劇
軽い気持ちで渡航を決めたTさんですが、Kさんとともに見た動画サイトで特集されていたのは、ワーホリの“光”の部分。実際にワーホリを利用した人のなかには、100社以上受けても一切受からず、履歴書を片手に職を探しさまようケースも少なくないといいます。
Tさんも、スムーズに仕事が決まらない日々にやきもきしていました。そんななか、苦労の末にとあるレストランが雇ってくれることに。月々の給与は3倍に増え、「こんなにもらえるんだ!」と大喜びのTさんです。
ただし、オーストラリアは物価高。収入は増えたものの、日本にいたころとは違い生活費もかかり、貯蓄に回す余裕はありませんでした。
そんなある日、Tさんは思わぬアクシデントに見舞われます。
休暇中にアクティビティを楽しんでいたところ、ビーチの岩につまずき転倒。病院に運ばれた結果、Tさんは足の指の骨が折れており、全治3週間と診断されたのです。
それまで大きなケガや病気にかかったことがなく、「渡航先で病院に行く機会もほとんどないだろう」と保険に最低限の保障しかつけていなかったTさんは、高額な医療費がほぼ全額自己負担に。さらに、治療のため仕事は休まざるをえませんでした。
「もしかしたら解雇されちゃうかも……」「こんなことになるなら、もっと考えておくべきだった」「親に会いたい、友達に会いたい。早く帰りたい……」Tさんは、経済的にも精神的にも追い込まれていきました。号泣するTさんの頭によぎるのは後悔の念ばかりです。